「沖縄の声を無視するなー」「最高裁は法の番人の役割をはたせー」
七夕の夜、東京千代田区の最高裁前では辺野古新基地建設をめぐる訴訟判決に対して怒りの声が上がった。
辺野古新基地建設にともなうサンゴの移植を許可するよう農水大臣が沖縄県に対して指示したのは“違法”だとして、県が取り消しを求めた「辺野古サンゴ訴訟」。6日、最高裁は沖縄県の上告を棄却、県の敗訴となった。この判決を受けて翌7日、「止めよう!辺野古埋め立て 国会包囲実行委員会」の呼びかけで最高裁前では辺野古移設に反対する市民ら65人が集まり、判決に対して抗議した。
防衛省は2019年、埋め立て予定区域に生息するサンゴ移植のため、約4万群体の特別採捕許可を沖縄県県に申請。県は移植の妥当性を慎重に審査していたが、サンゴの保全を所管する農水大臣が2020年2月、知事の判断を待たずに是正指示を出した。県は「違法な国の関与」だとして取り消しを求めて提訴したが、最高裁は県側の上告を棄却した。
沖縄県の玉城デ二―知事はこの判決を受けて、上告棄却という結果ではあったものの、裁判官5人中2人は、知事が指示に従わなかったことは「違法とは言えない」として異例の反対意見を述べたことを重視。「県の主張を認めた画期的な反対意見が付され、県の主張は正当性があるものと確信した」とコメントした。辺野古関連訴訟で裁判官から反対意見が出たのは初めてだ。
辺野古の移設をめぐっては2013年に、当時の仲井真知事が埋め立てを承認したが、翁長前知事の時代に「軟弱地盤」の存在が明らかになり、承認が撤回。防衛省は現在、辺野古の設計変更を沖縄県に申請していて、今後、県がこの申請を認めなければ、国と県が司法で再び争うことになる可能性が高い。