原発事故から11年目。これまで固く口を閉ざしていた小児甲状腺がん患者が立ち上がった。自身の甲状腺がんは福島原発事故の影響だとして、今月27日にも、東京電力を訴える。原発事故の放射線被ばく影響について、同社を訴える集団訴訟は、本訴訟が初となる。
提訴するのは、事故当時福島県浜通り、中通り、会津に居住していた6歳から16歳の男女6人。このうち、4人は、再発に伴う手術で甲状腺を全摘し、生涯、ホルモン薬を服用しなければならない状態となっている。弁護団によると、原告の中には、4回もの手術を受けた患者や、遠隔転移している患者もおり、進路や就業に困難が生じているという。
小児甲状腺がんは100万人に1〜2人程度の希少ながんで、チェルノブイリ原発事故後に多発し、事故との因果関係を認められている。このため、福島原発事故後、日本政府は、当時18歳以下だった子ども38万人を対象にした甲状腺検査を開始。現在まで300人近い子どもが甲状腺がんと診断されている。
弁護団長の井戸謙一弁護士は、「何ミリシーベルトの被曝をしたというところまでは特定できないが、原告は相当量の被曝をしてい」とした上で、「甲状腺がんの危険因子は放射線被曝。甲状腺がんの発症数は、事故前と比較にならないぐらいの数になっており、原告の中には「過剰診断」によって見るかつようながんはない」と強調。「原因が被曝でないというならば、東京電力がそのことを立証すべきだ」と述べた。