福島第一原発事故
2011/08/11 - 23:12

泊原発再稼働問題〜原子力安全委、安全チェックを保安院に丸投げ

北海道電力の泊原発3号機の営業運転再開に関し、内閣府の原子力安全委員会は11日、「法的に判断する立場にはない」として、事実上承認した。
 
泊原発3号機は、今年の1月に定期点検に入った原子炉で、福島第一原子力発電所の事故直前の3月7日から、定期点検の最終行程にあたる調整運転を続けていた。
 
今回の営業運転再開は、経済産業省の意向を受けたもので、8月8日、北海道電力が保安院に対して申請を行い、8月9日と10日の2日間、経済産業省原子力安全・保安院による総合負荷性能検査が行われた。
 
11日の安全委員会では、保安院から「技術上の問題はない」とする報告を受けた後、10分程度の質疑が行われただけで、事実上、営業運転を承認。班目委員長が、「定期点検については、規制機関である保安院が行うもの」として、安全委員会として独自の見解は示さなかったことから、会場は騒然。傍聴していた市民らからは「安全委員会には二重のチェックを行わないのか」「きちんと審議して、独自の見解を示すべき」といった怒号が飛び、班目委員長は途中退席。予定していた審議を残したまま終了した。泊原発3号機は、他の原子炉の運転再開の要件となっているストレステストは行われていない。
 
福島老朽原発を考える会や美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会など3団体は、原子力安全に委員会の姿勢に対し、「原子力安全委員会の二重チェックは嘘だった」として泊原発の本格稼働再開は許されないとの声明を発表した。
 
泊原発の営業運転再開に関しては、今後、北海道の高橋はるみ知事が承認するかどうかが焦点となった。
 
※通常、原子炉は、営業運転を開始してから13ヶ月で定期点検を行うことが定められている。定期点検は通常、約2ヶ月程度の点検の後、最終段階である1ヶ月程度の調整運転を行い、地元への理解を得た上で、2日にわたる保安院の最終点検(総合不負荷性能検査)を実施。営業運転に入る。しかし、泊原発3号機は、福島原発事故の影響で、5ヶ月間もの間、調整運転を行っていた。)
  
映像:西中誠一郎
 

 

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