東京外かく環状道路のうち、東京都練馬区の大泉ジャンクション(JCT)と東名高速道路をつなぐ地下トンネル工事をめぐり、建設ルート周辺の住民らが事業認可処分の取り消しを求めている裁判の第25回口頭弁論が22日、東京地裁で行われた。
原告代理人の遠藤憲一弁護士は法廷で、世田谷区成城で今年1月から工事の準備が進められている東名JCT地中拡幅工事について、中日本高速道路株式会社(NEXCO中日本)ら事業者が2015年に、より安全性の高いトンネル掘削工法に変更して、都市計画事業の承認を受けているのもかかわらず、安全性の低い変更前の工法で工事を始めようとしていると指摘。再度、計画変更の承認が必要なはずだとして、「手続きを行っていないのは違法」と主張した。
また浅野史生弁護士は、大深度法の違憲性について主張。地上に住む土地所有者が、地下を利用する可能性があるにもかかわらず、大深度法によって全面的に地下利用ができなくなるのは過度な制約だと指摘。土地所有者がその状態から解放される手立てがないことは、憲法29条が保障する財産権を不当に侵害しており、大深度法は、大企業を保護する一方で、個人の財産権を制約する法律であるとして、裁判所に対して、違憲性を厳しく判断するよう求めた。
期日後の報告集会で、法廷で意見陳述した原告の野村羊子さんは、土地の所有者に許可なく地下を堀り、何ら補償がされない大深度法の仕組みを、戦時中の建物疎開になぞらえて批判。「調布で起きた陥没事故は、問答無用に建物が壊され、立ち退かざるをえない事態を生んだ。まさに人権侵害だし、それをさせたのは大深度法だ」と厳しく批判した。
次回期日は7月23日。