リニア中央新幹線予定地の周辺住民らが、工事認可の取り消しを求めて国を訴えている裁判の控訴審第4回口頭弁論が23日、東京高裁で開かれた。リニア工事のトンネル掘削をしていた東京都・町田市の小野路工区の民家で昨年10月下旬、気泡と地下水が噴出していることが見つかってから初の弁論となった。
原告側の和泉貴士弁護士は法廷で、町田で民家の庭先で気泡と地下水が噴出した直後の映像を上映。地域住民が気泡をペットボトルに採取する様子や、採取した気泡の酸素濃度を測定した映像を見せながら、気泡の周辺の空気を吸い込むと6分間以内に死に至る可能性があることを説明した。空気中の酸素濃度は、6%を下回ると失神や呼吸停止、心臓停止、死亡などの致命的な症状を引き起こしますことがわかっているが、民家の気泡は1%だった。
和泉弁護士はさらに、JR東海の酸素濃度の測定方法を批判。JR東海は、外気が触れる状態で気泡を採取しており、それを測定すれば酸素濃度が高くなるのは当然だとした上で、地下室など密閉された環境が想定されておらず、「安全と断言できない」と反論した。また、気泡の酸素濃度が19%前後あるから、「健康被害は生じない」と住民に説明していることは「極めて危険」と非難した。
期日後の報告集会で、弁護団共同代表の関島保雄弁護士は、「危惧したことが、ますます明らかになってきた。リニアというものは本当に作るべきものではないことが証明されてきたと思う」と述べた。町田市小野路の民家で吹き出している気泡を巡っては昨年12月、JR東海はリニア工事と気泡との因果関係を認めていた。次回の裁判期日は4月24日。