LGBTQ
2024/10/03 - 08:59

経産省に「改善急いで」〜最高裁「違法」判決後も女性トイレ制限

経済産業省がトランスジェンダー女性職員に対し、女性トイレの使用の制限を続けていることに対し、市民団体が1日、経産省と人事院に対し、改善を求める要請を行なった。最高裁判所は2023年7月、女子トイレの使用を制限していることは違法であると判断してから1年以上が経過しており、早期の改善を求めた。

要請を行ったのは、トランスジェンダー差別の解消を求めて活動している一般社団法人TransgenderJapanのメンバーら。「国は差別の解消に責任を持つ主体であり、差別を放置・再生産してはならない」として、トランスジェンダーの女性職員へ対する女性用トイレ使用制限を「ただちに撤廃すること」を求めた。

経産省に勤務するトランスジェンダー女性職員は、経産省に入ってから、20代でホルモン投与などの女性への性別移行を始めた。この職員が、トイレ利用のあり方について経産省と話し合い、女性トイレの制限を課せられたのは15年も前の2010年で、2015年には人事院に救済を求めてきた。しかし、処遇に変化が見られなかったため、司法判断を求めて裁判を提起。昨年、最高裁は、経産省の対応は違法であるという判決を下していた。

経済産業省は要請に対し、現在もトイレ使用を制限するルールが残っていることを認めたうえで、最高裁判決が出てからの1年間、職員を対象に研修を行っていると説明。「なぜ1年以上経っても制限が解除されないのか」との質問には、トイレ使用を制限を撤廃する前提として、職員の理解を高めていくことが必要であるとの考えを示した。

同団体の共同代表・畑野とまとさんは「何も実績のない人が女子トイレを使わせろと言っているのとは話が違う」と指摘。「職員が女性として長く働いてきたという実績があっての最高裁判決」であることを強調した上で、「同じ職場で働いている一人の人間のことというふうに考えていただきたい」と強く訴えた。

また同席した大椿ゆうこ参議院議員も「最高裁判決を受けて、ようやくこれで変わると思っているのに、さらに待つことになる」と同省を批判。「周りの理解を待っていたら、いつ彼女の基本的な要求を実現できるのか見通しが立たない」と早期の解決を求めた。

人事院の職員は「行政措置として経産省に円満解決を求め斡旋したが、1年以上動きかないということを理解したため、最高裁に従った判定を出すよう対応する」と説明した。

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