東京都練馬区の大泉ジャンクション(JCT)から東名高速道路までのおよそ16キロメートルを地下トンネルで結ぶ東京外かく環状道路事業をめぐり、トンネルの上に住む住民らが事業の違法性を訴えている裁判の第23回口頭弁論が4日、東京地裁で行われた。
原告代理人の遠藤憲一弁護士は、2020年10月に発生した調布市の住宅街における陥没事故の国の調査結果を批判。「地盤のゆるみはトンネル直上でしか発生しない」とする国の主張に対し、「トンネルの直上以外でも影響はある」「無視できない沈下が起きていることは明らかだ』と反論した。
また吉田哲也弁護士は、国が大深度地下使用認可について、「他の類似事件を参考にした」と説明していることを批判。外環道工事は、他の工事とは、規模や工法の点で、全く異なり、世界最大級の難工事であるとして、「矛盾する」指摘した。
さらに「(地下が)今後使われることはない」とする国の主張は、「科学的根拠がない」として財産権の侵害だと違憲性を訴えた。
遠藤弁護士は報告集会で、地盤の緩み調査結果は、「裁判の核心部分」と強調。工事の危険性がある以上「トンネルを掘ってはいけないということを裁判官にわからせる必要がある」と述べた。専門的な意見書を提出し、国の調査結果や、再発防止対な誤りを指摘したいとしている。次回期日は12月10日。