性交後、72時間以内に内服することで望まない妊娠を防ぐ緊急避妊薬の薬局での販売をめぐり、市民団体らが院内集会を開き、迅速な販売環境の整備を訴えた。
緊急避妊薬とは、避妊失敗や性暴力にあった際に緊急的に妊娠を避けることに役立つ薬のことだ。72時間以内に飲むことが効果的で、24時間以内に飲むと95%望まない妊娠が阻止できるとされている。海外では90カ国以上で、薬局で緊急避妊薬を手にいれることができるが、現在、日本では限られた産婦人科でしか手にいれることができない。これらの現状をうけ立ち上がったのが、主催の「緊急避妊薬を薬局でプロジェクト」。2018年から始まったこの院内集会は10回目となった。
集会には6人の国会議員と厚生労働省職員、オンライン参加ら合計137人が参加。会の冒頭で、厚生労働省の担当課長から、昨年11月から今年2月までの4ヶ月間、試験的運用がされた際の調査結果について報告があった。試験運用した薬局は、緊急避妊薬の調剤の研修を終了した薬剤師などの条件をクリアした上で調査協力した全国145箇所。販売数は2181だった。購入者への満足度調査は「薬剤師の対応」「説明のわかりやすさ」「プライバシーへの配慮」の満足度が高かった一方で、販売額が7千円〜9千円である値段について「支払った費用の満足度は低い傾向にあった」と報告した。また、今回の調査ではデータが不十分として、引き続き今年度も試験運用を行うと述べた。
「常備薬にして、お家においておくのがよい」
明治大学文学部教授でセクシュアリティとジェンダーの社会学を専門とする平山満紀さんは「(緊急避妊薬は)常備薬にして、お家においておくのがよいと推奨しています」と述べると、国際NGOプランインターナショナルユースのひかりさんは昨年ヨーロッパ留学した際、現地の薬局で緊急避妊薬が安価に手に入ったと述べると、「何かハプニングがあったとしても家のすぐ近くの薬局に行けば大丈夫だといった安心感がありました」と体験を語った。SRHRユースアライアンスのみずきさんも「避妊に失敗したときだけでなく、性暴力に巻き込まれた事態のためのお守りとして手元にあるだけでもかなり精神的負担が減ります」と訴えた。
NPO法人ピルコン理事の染矢明日香さんは、「私たちは(国に)調査(試験的運用)であったりとか検討をしてほしいというわけではなくて、一刻も早く迅速に全ての薬局で安心して(緊急避妊薬が)入手できる環境整備をしてほしい」と強く訴えた。