入管難民法をめぐり、「永住権」の取り消し対象を広げる改正案が、衆議院を通過し、参議院で審議されているのを受け、弁護士や永住権を持つ外国人が10日、緊急集会を開いた。参議院法務委員会での採決が迫る中、当事者らは警戒を強めている。
昨年の通常国会で、多くの批判を受けながらも改正された入管難民法。昨年度の改正では、外国人を強制送還しやすくするなどの内容が盛り込まれたが、今国会でも、さらなる法案が提出され、批判を呼んでいる。中でも、最も注目を集めているのが永住権の取り消し対象を広げる制度だ。例えば、外国人が、外国人登録証を所持し忘れるなど、軽微な違法行為をしただけでも、永住権を取り消すことが可能となる。
「入管を変える!弁護士ネットワーク」の指宿昭一弁護士は「本当に恥ずかしいことだと思います」「日本の一市民として、こんな法案を絶対に通してはならないというふうに思います」と述べた。芥川賞作家で永住権を持つ李琴峰(り ことみ)さんは「日本が大好きだ」と述べたうえで、法改正案について「お前はいつまでも日本人より格下の二級市民で国が守るべき対象ではない」「俺たちはいつでも好きなときにお前の生活を奪うことができると言われたような気がします」語った。
軽微な違反で永住権が取り消されてしまう
駒井知会弁護士は「在留カードの常時携帯義務を違反した。それがうっかりであったとしても、文言上(永住資格)の取消事由にあたる」「その重さを日本人はもっとしるべき」と強く訴えた。東ゼン労組役員のソラナ・ミツさんは小さなミスで奪われない「安心な生活」を訴えると、東ゼン労組役員のルイス・カーレットさんも「この法案はとてもこわい」「21世紀の日本でやるべきことではない」と指摘した。
目指すべき共生社会
横浜華僑総会顧問の曽德深(そう とくしん)さんは1923年の関東大震災の際、多くの外国人虐殺被害者が出た中で(横浜中華街のある)山下での虐殺が0人だったことに触れ、「中華街で長く中国人と日本人がお互いに行き来して一緒に共に街を作った」と述べると、この経験は、「これから入ってくる外国人もみんなそういうことが可能」であるとし、「それが目指す共生社会じゃないかなと思っています」と語った。そのうえで、「今回の法律は、逆に言うと日本の政府に寛容の心がなくなっているんじゃないかと思っています」と締め括った。