能登半島地震で変圧器などが壊れる被害を受けた石川県志賀町にある志賀原子力発電所が3月7日、地震発生以降、初めて報道関係者に公開された。志賀原発では能登半島地震の際、1号機の原子炉建屋の地下2階で震度5強相当の揺れを観測した。
今回、報道関係者に公開されたのは、一部が損壊し、油漏れを起こした変圧器や、試験運転中に自動停止した1号機のディーゼル発電機など。1号機燃料プールも公開されたが撮影は禁止された。
最も被害が大きかったのは、外部から電気を受ける際に使う2号機の変圧器。故障箇所の配管は外され、布で覆われているため、故障の様子は撮影できなかった。点検に訪れた作業員は当初、コンサベータと呼ばれる場所の油だけが漏れたと勘違いし、漏洩した油の量を過小に発表したが、実際には、変圧器本体や放熱機の配管などに含まれる油約1万9800リットルが漏洩し、一部は海に流れ込んだ。この影響により、現時点で、3系統5回線ある送電線のうち、1系統2回線が今も使えなくなっており、復旧のめどは立っていない。
敷地内に隆起や沈降
公開後の記者会見で記者から質問が殺到したのは、敷地内の段差や亀裂について。北陸電力の吉田進土木建設部長は、敷地内に隆起や沈降が起きていることを認めた上で、11ヶ所で測量を実施したと説明。近日、地震前と比較した結果を公表すると述べた。また敷地内に多数、生じている亀裂や段差などについても調査済みであるとして、近日、地図上にマッピングした上で公表するとした。
志賀原発は1号機、2号機ともに2011年から運転を停止しており、2号機については、再稼働の前提となる審査が行われている。記者から再稼働について問われると、原子力規制委員会で審査中であり、答える立場にはない」と回答しなかった。原子力規制委員会では、今回の地震を受けた新たな知見を反映させる方針で、審査は長期化する見通し。