東京電力福島第一原発事故に伴う放射性物質の影響で甲状腺がんになったとして、事故当時、福島県内に住んでいた若者7人が東京電力に損害賠償を求めた「311子ども甲状腺がん裁判」の第9回口頭弁論が3月6日、東京地方裁判所で開かれた。原告側は、被告・東電が主張している「100ミリシーベルト閾値論」に反論する書面を提出。20分にわたってプレゼンした。
法廷に立ったのは、西念京佑弁護士。最近になり、国際的な論文雑誌などで低線量被曝に関する特集が組まれていることなどを紹介し、「100ミリシーベルト以下では、がん死の増加は識別できない」とするICRP(国際放射線防護委員会)の2007年勧告に基づいた被告の主張は、過去のものであると指摘。広島・長崎の被爆者による寿命調査(LSS)や欧米の原発作業員を対象とした研究(INWORKS)などにより、100ミリシーベルト以下でも被曝影響が認められるようになっていると主張した。