「子ども被ばく裁判」2審も棄却〜仙台高裁
東京電力福島第1原発事故後、子どもへの被曝を避けるために、国や県が適切な対応が講じなかったとして、事故当時、福島県に住んでいた親子らが国と県に1人当たり10万円の慰謝料を求めた訴訟の控訴審判決で、仙台高裁は18日、一審に続き、原告側の訴えを退ける判決を言い渡した。
原告側は、放射性物質の被曝線量を予測するSPEEDIの情報をただちに住民に公表したり、子どもたちに安定ヨウ素剤を服用するなどの被曝対策を行うべきだったなどと主張していたが、仙台高等裁判所の石栗正子裁判長は、原告側は、国の対応によってどの程度、被ばくしたかを立証していないなどと指摘。原告の主張自体が無意味であるとと判断した。また、SPEEDIの予測計算の結果は、正確性が高いとはいいがたかったなどとして、データを公表しなかったことに「裁量権の逸脱や乱用があったとは言えない」と述べた。
裁判長が判決理由を読み終えると、法廷では「恥を知れ」などと怒号が飛び、裁判所の前では、涙を流す支援者もいた。判決後の記者会見で、原告団長の今野寿美雄さんは、「国や県の主張をなぞっただけの判決だ。あきれ果てた。上告して最後まで闘いたい」と述べた。