長崎の原爆にあいながら、国の指定地域外にいて被爆者と認められていない「被爆体験者」らが28日、厚生労働省担当者と面会し、早期救済を求める署名約30万筆を手渡した。被爆体験者らは「もう命がない」「救済する方向で検討してほしい」と訴えた。
長崎では、南北に長細い旧長崎市内を「被爆地域」と限定してきたため、爆心地から同じ12キロ圏内にありながらも、旧長崎市以外の人は、放射能を含んだ雨や粉塵を浴びたり、汚染した水や食物を体内に摂取しても、「被爆者援護法」の枠外に置かれてきた。
被爆体験者の濱田武男さんは「長崎も黒い雨が降った。内部被曝をした広島とどう違うのか。認定基準を見直してほしい」「もう命がない」と訴えた。
長崎の被爆地域図
広島と長崎に格差〜内部被曝めぐり
長崎では、「被爆体験者」らが、「被爆者援護法」の適用を求めて、2011年から裁判を起こしてきたが、2017年に最高裁で敗訴が確定。現在、第二次訴訟が争われている。一方、広島では、同じように内部被爆をした住民が起こした「黒い雨」訴訟で、昨年7月に広島高裁が原告全員を被爆者と認めた一審を支持し、被爆者健康手帳の交付を命じたた。
国はこの「黒い雨」訴訟の原告勝訴を受け、4月1日から新たな被爆者認定基準の運用を開始する。しかし、今回、新たに救済の対象となるのは広島で黒い雨を浴びた人に限られ、長崎の被爆体験者は対象外。長崎は降雨や被曝を裏付ける証拠がないなどとしている。