外環道トンネル工事一部中止を判断〜東京地裁
東京外郭環状道路(外環道)のトンネル工事をめぐり、周辺住民ら13人が東日本高速道路や国などに工事の差し止めを求めた仮処分の申し立てで、東京地裁は28日、東京地方裁判所は「具体的な再発防止策が示されていない」として工事の一部中止を命じる決定をしました。目代真理裁判長は「有効な対策を採らずに同じ工法で工事が再開されれば、再び陥没などを生じさせる具体的なおそれがある」と指摘した。
外環道は、東京都練馬区大泉町から、埼玉県を経由し、千葉県市川市高谷に至る高速道路で、このうち、東名高速と関越道をつなぐ16・2キロでトンネル工事が行われてきた。今回、工事の差し止めが認められたのは、東名JCTから、武蔵野市の井の頭通り付近までの約9キロの区間。2020年10月に東京都調布市でトンネル工事現場の真上にある市道が陥没した付近に限定され、そのほかの区間は却下された。
今回の差し止め決定を受け、住民側の代理人を務める竹内更一弁護団長は、「工事の危険性が認められた」「再び陥没が起きる可能性があると指摘し、人格権や財産権の侵害を認めた」と評価。また事業者が作成している報告書について、「再発防止策が提示されていないと判断している」と指摘した。
また、判決で工事差し止めの対象となった地域で暮らす原告・丸山重威さんは、工事の危険性を認められたことを評価しつつも、(判断が)これほど遅れて、狭くなってしまったのはなぜなのかと疑問を呈し、「事業者が本当に反省をして、これを機会に全部の工事を止めて、もう一度(安全対策を)再検討してほしい」と訴えた。