2027年開業をめざすリニア中央新幹線のトンネル工事で事故が相次いでいることをめぐり、工事の中止を訴える団体が9日、JR東海と国土交通省に対し、工事を中止するよう申し入れをした。記者会見で「事故の原因調査を徹底的に行い、その結果を住民に公開するべき」と訴えた。
申し入れを行ったのは、東京都、神奈川県、山梨県、静岡県、長野県、岐阜県、愛知県など、リニア新幹線の沿線に居住する住民らによる「リニア新幹線沿線住民ネットワーク」のほか、リニアから住環境を守る田園調布住民の会と外環ネットら3団体。先月27日に岐阜県内のトンネル工事現場で作業員2人が死傷する崩落事故が起きたことをうけ、リニア新幹線工事は中止し、原因調査と案対策を優先するよう求めた。
リニア新幹線沿線住民ネットワークの天野捷一さんは記者会見で、先月死亡事故が起きているにもかかわらず、工事が再開されていたことや、1週間経たずに当たらな事故が起きているJR東海の姿勢を批判。JR東海が、工事を焦って進めているとして、「安全対策をを講じずに工事を再開している」と怒りをあらわにした。
また、昨年10月18日に、東京外環道の大深度工事が原因により、調布市の住宅街で道路が陥没したことに触れ、大深度における工事の安全性について、原因究明を行うよう求めた。申し入れ内容は以下の通り。
1. 政府並びにJR東海はリニア沿線の工事をいったん中止し、岐阜県瀬戸トンネル
事故の原因調査を徹底的に行い、結果を住民に公開すること。
2. 政府並びにJR東海はリニア工事が住民の生活や自然環境への深刻な影響を及ぼ
すことから、保全対策については沿線自治体や住民の意見や要望に配慮すること。
3. 政府は東京外環の道路陥没事故を受け止め、リニア大深度工事の調査掘削と本工
事を中止させること。
4. 政府は静岡県熱海市の土石流災害を深刻に受け止め、リニア建設残土の処分地、予
定地について実態と安全対策の総点検を行うこと。