2010/08/06 - 16:50

【世界のオルタナティブメディア】マーク・ワイス(アメリカ)

【世界のオルタナティブメディア】マーク・ワイス(アメリカ)

アメリカ公共放送のシリーズ番組POV。従来のジャーナリズムとは異なる視点を持った作品を放送するこのシリーズの創設者であるマーク・ワイス氏が、TOKYOメディフェスに参加するため初来日した。

 もともと、私は映像作家として、自分の作品を世の中に出す難しさをずっと感じていました。70年代前半に、私のような独立系の映像作家たちはネットワークを模索しはじめました。それまではバラバラだった映像作家の声をまとめ、自分たちの作品を発表していくために連帯することが必要だと気付いたのです。そして、私たちは公共放送にその糸口を見つけようとしました。なぜなら公共放送は本来、多様な声を伝えるために設立されたものだったからです。
 
 当時、テレビで放送されていたドキュメンタリーの多くは、客観的で公正中立な視点から作られた作品ばかりでした。しかし、独立系の映像作家たちは異なる視点を持っています。ジャーナリズムに反すると批判の声もあり、個人的な視点を持った作品を公共放送で流すことは非常に大胆な試みでした。
 
 私たちは、それぞれの作品には常に人間が関わっていることを強調しようとしました。POVの作品は、ひとりの人間や小さなコミュニティーが伝えなければいけないことを伝えている。そこに価値を見出そうとしたのです。番組枠を勝ち取るまでは長い道のりでしたが、このようなコンセプトが決まってからはシリーズの重要性を訴えやすくなり、1988年POVは放送を開始しました。
 
 POVは“Point of View=ある視点”の略称です。映像作家や撮影対象者の視点が反映された作品を放送しています。放送が始まってから22年目を迎え、これまで放送された作品は250を超えますが、政治的なものから個人的なものまで非常に多彩です。
 
 民主的な社会には対話が不可欠です。議論が生まれ、豊かな社会を育てるためには多様な声が伝えられなければなりません。POVのミッションのひとつに、ここでしか聞けない声を届けることがあります。仕組みを作り出すには長い年月がかかりますが、行動を起こさない限り、勝ち取ることはできません。日本の独立系メディアや映像作家たちも、自分たちが社会にとって非常に重要な役割を担っていることを認識し、連帯して声をあげていくことで道が開けるのではないでしょうか。

*マークさんのインタビューを配信中!
ContAct「多様な視点の作品を公共放送で流す」
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/250

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