東京電力福島第一原子力発電所のいわゆる「処理水」をめぐり、政府が明日、海洋放出の方針を決定するとの報道を受け、脱原発を訴える市民団体らが12日、経産省に対し、海洋放出に反対する署名を提出した。
署名を呼び掛けたのは、原子力資料情報室や国際環境NGO/FOEジャパンをはじめ、世界24か国311団体。「汚染水を海に流さないで」との内容に、88の国と地域から6万4431人が賛同した。
呼びかけ団体の国際環境NGO/FOEジャパンの満田夏花さんは、「アリバイ作りのようにいきなり全漁連の岸会長との会談が先週水曜日に行われ、その翌々日にはメディア各社に汚染水を海洋放出するという決定を火曜日にするとの情報が流れた。これは許すことができない乱暴な決め方だ」と批判。適切な合意形成が一切行われていない上、福島第一原子力発電所にある多「核種除去設備(ALPS)」で処理した汚染水はまだどのような放射性物質が含まれているかすら分かっていないと指摘した。
また、浪江町から福島市に批判している今野寿美雄さんは、地元の請戸漁港では、3月まで週3回の試験操業が行われていたが、今月に入り、ようやく本格操業に入ったばかりだったと声を落とし、このままでは福島県の漁業はたち行かないと政府の突然の決定に声を荒げた。
一方、国際環境NGOのグリーンピース鈴木かずえさんは、国連人権理事会の特別報告者など5人が海洋放出に懸念を表明していると指摘。また1982年に採択された「国連海洋法条約(UNCLOS)」にも反していると述べた。
官邸前には100人あまりが集まり、「汚染水を海に流すな」「勝手に決めるな」などと声をあげた。政府が海洋放出を決定する明日も、11時に福島県庁前で抗議行動が行われるほか、12時と19時からそれぞれ海洋放出に反対するデモが行われる予定だ。