東京電力福島第一原子力発電所事故を受けて、一部区間の不通が続いていたJR常磐線が14日、富岡駅と浪江駅間の運転を再開し、全線開通となった。双葉駅で開催された列車の出迎え式に出席した福島県の内堀雅雄知事は「聖火リレーで常磐線の利用が計画されており、全国にアピールする絶好の機会になる」と述べた。
双葉駅では、早朝から列車の再開を祝う住民が「おかえり常磐線」という手作りのバナーを掲げ出迎えた。福島県は、双葉駅で特急列車の出迎え式を開催。地元の人がたたく太鼓の音が鳴り響く中で、内堀知事や、国土交通省の赤羽一嘉大臣などがホームで特急の一番列車となる「ひたち3号」を出迎えた。
式典の後の記者会見で、内堀知事は「復興五輪は復興が完了した五輪ではなく、10年20年長い期間をかけて様々な課題を解決していく一つのスタート」だと説明した。また、JR東日本の社員でつくる労働組合が、試運転で帰還困難区域を通過した車両のちりから、1キロ当たり2350ベクレルのセシウム137が検出したと発表し抗議の声が上がっていることについて、記者が「状況が整っていない中で五輪に合わせて早く再開した側面はあるのか?」と質問すると、赤羽大臣は「安全をないがしろにして東京五輪に合わせたのは事実誤認。風評被害につながる」と声を荒げた。
14日から無人駅となった小高駅
福島を経由し、東京から仙台を結ぶJR常磐線。東日本大震災後は、津波の被害や原発事故の影響を受けて一時全線運休となった。復旧が進む中で、放射線量の高い帰還困難区域にあった富岡駅と浪江駅間の約20キロが残されていた。
全線開通にあたり、いわき駅から原ノ町駅間は、広野駅を除き全て無人駅となる。住民からは「スーパーや病院など町のインフラが整っていないから心配。駅員さんがいなくなるのは寂しい」との声が漏れた。