新型コロナウィルスの感染拡大に伴う緊急リポート第4回弾。今回のデーマは、新型コロナウィルスの蔓延防止の切り札として今、世界的に導入が検討されている「携帯アプリ」。日本政府も、濃厚接触者を追跡する携帯アプリの早期導入を目指し、今月中にも実証実験を開始する予定だが、これらは一体どういうものか。有効性はあるのか。カナダのオタワ大学で監視問題を研究している社会学者で、ジャーナリストの小笠原みどりさんとつなぎ、話を伺う。
新型コロナ対策の携帯アプリ3類型
世界中のIT企業が今、開発競争にしのぎを削る「追跡アプリ」には3つの類型があると小笠原さんは指摘する。1つは、GPSによる位置情報をもとに、個人の移動経路を追跡し、感染可能性を予測することで、外出許可や自己隔離など、個人の行動を制限するタイプ。中国やイスラエルが既に導入している。
小笠原みどりさん作成 クリックすると拡大できます
2つ目は、政府が自己隔離が必要だとした感染者を監視するもので、隔離されている場所から離れると警察に通報されるタイプだ。これは台湾、ポーランドなどですでに導入されている。
3つ目は、GPSによる位置情報は使わないタイプで、個人の同意を前提としたもの。一定時間、ある距離の中に近づいた者同士の情報をブルートゥースを使って記録し合い、いずれかの感染が判明した場合に通知が送られてくる仕組みだ。すでにシンガポールが導入しているほか、イギリスやアメリカなどでも導入が検討されている。日本政府が導入を検討しているのもこのタイプだ。
新型コロナウイルスの感染拡大という緊急事態下、新たな監視プログラムの導入が急速に広がっているが、これらをどう見るか。専門家の立場から検証する。
朝日新聞記者(1994-2004)として住民基本台帳ネットワーク問題などに取り組み、2005年に米スタンフォード大学でフルブライト・ジャーナリストとしてデジタル監視を研究。2016年、米国家安全保障局による世界監視システムを告発したエドワード・スノーデンに日本人ジャーナリストとして初のインタビュー。2018年、カナダ・クイーンズ大学で社会学博士号を取得。現在、オタワ大学特別研究員。近著に『スノーデン・ファイル徹底検証』(毎日新聞出版)
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