国内避難民の人権を担当する国連特別報告者が日本での来日調査を求めている問題で、福島からの避難者らが16日、早期に受け入れるよう外務省に要請を行った。
要請したのは、避難当事者団体や支援団体など約80団体。避難当事者ら5人が外務省を訪れ、茂木敏充外相宛ての要請書を手渡した。要望書では、国内避難民の権利を担当する国連特別報告者・セシリア・ヒメネス・ダマリーさんが2018年8月に、日本政府に対して訪日調査を要請し、その後、2回にわたって再要請しているにもかかわらず、対応していないと批判。早期に受け入れの意思を表明し、年内に訪日日程を確定するよう求めた。
面会した外務省の人権人道課の担当者は、過去3回、特別報告者と非公式な面会したとしたものの、受け入れを決めるのは復興庁と内閣府の原子力被災者生活支援チームだと明言したという。
要請後の記者会見で、南相馬市から神奈川県に避難している村田弘さんは、「国が進た原発の事故で生じた避難者に対し、避難民として認めない、必要な手当をしないことがまかり通っていることは本当に許せない。」「生活がギリギリで、今入っている住宅から出られないという人を、公権力の方が裁判に訴えて追い出すというのは世界からみたらどうなのか」と語気を強め、海外の目で現実をしっかりみてほしい、特別報告者の来日に期待を寄せた。
2018年にスイスのジュネーブで開催された国連欧州本部の記念行事で、原発事故の避難者の状況を話した女性は、特別報告者であるダマリーさんらが、日本における原発事故避難者は「国内避難民」であると認知していると指摘。「3回も来日調査を要請しているダマリーさんは、それだけ深刻な問題だと認識している」として、避難者、支援者で力をあわせ、来日を実現させたいと力を込めた。