東京電力福島第一発電所事故後、放射線量が年間20ミリシーベルトを超えたとして「特定避難勧奨地点」に指定されていた南相馬市の地域住民が、線量が低減していないにも関わらず避難の指定を解除され、帰還を余儀なくされたとして、国を訴えていた裁判で、東京地方裁判所は12日、「帰還を強制したとはいえない」として原告の訴えを退けた。
訴えていたのは、南相馬市で「特定避難勧奨地点」に指定されていた世帯やその周辺住民808人。十分に線量が低下していないにも関わらず、2014年12月、政府から一方的に指定が解除され、東京電力の慰謝料や住宅支援が受けられなくなり、帰還を余儀なくされたとして、国に対し、解除の取り消しや1人当たり10万円の慰謝料を求めていた。
判決で東京地裁は、警戒区域や計画的避難区域といった避難指示区域とは異なり、
特定避難勧奨地点は原子力災害対策特別措置法に基づくものではなく、被曝線量が年間20ミリシーベルトを下回ることが確実であることが確認されたことについて情報提供するもので、帰還を強制したとはいえない」として、解除の取り消しは認めらず、訴えは退けられた。
記者会見で原告団長の菅野秀一さんは「頭にくるというか、いいかげんな判決どこにあるのか。私たち原告団の考えは一切聞き入れられない判決。弁護団と相談し、控訴するか考えたい」と憤った。