現在の日米関係の枠組みは安保条約によって規定され、それは、最近の普天間基地移設のような問題ばかりでなく、日本人の対米感情にも影響を与えている。この映画は、日米関係をテーマにした美術や写真・映画の紹介と、アーチストたちの証言で構成されている。そこから浮かんでくるのは、安保があの戦争と密接にかかわっているという事実。日本中を巻き込んだ1960年の安保改定反対運動を支えたのは「二度と戦争はしたくない」という多数の市民の意思だった。「安保を通して見た戦後日本の実像」が描かれていて、いい意味で予想を裏切られる。ただ、半世紀たった現在の視点からの考察が抜け落ちているのがやや残念。
監督:リンダ・ホーグランド(2010年/日本/89分)
公式ページ
http://www.anpomovie.com/
2010年9月18日(土)より、渋谷アップリンク、横浜シネマジャック&ベティほか全国順次公開