東京電力福島第1原発事故で福島県から千葉県に避難した集団訴訟で、東京高裁は19日、国の法的責任を認めなかった一審を覆し、国にも賠償を命じた。
裁判は、福島原発事故後、福島県から千葉県に避難していた43人が東京電力と国を訴えていたもの。原発事故をめぐる集団訴訟で、高裁判決が出た3つのうち、国の責任について認めたのは、昨年9月の仙台高裁に続き2件目となった。
東京高等裁判所の白井幸夫裁判長は、 2002年に地震調査研究推進本部が公表した長期評価について、「相応の科学的信頼性のある知見であると評価できる」とした上で、「経済産業大臣としては、長期評価が公表されたしらるべき時期に、東電に依頼するなどして長期評価に示された見解に依拠して福島県沖で発生する可能性のある地震による津波の評価をしていれば、福島第一原発に敷地高を大きく超える津波が到来する危険性があることを認識できた。」「防潮堤の設置やタービン建屋や重要機器室の水密化は想定でき、対策を講じていれば、電源を喪失する事態には至らなかったと認めるのが相当だ」と指摘した。
また避難について、「元の居住地へ帰還するか」「帰還を断念するか」について「意思決定をしなければいけない状況に置かれること自体」について「精神的な損害だ」として、避難生活に対する慰謝料とは別に、慰謝料を支払うべきだと判断した。