福島第一原発事故
2019/03/08 - 02:30

慶応大生が開沼博氏を提訴〜名誉毀損で

慶應大学の大学生が7日、 社会学者の開沼博立命館大学准教授から、事実に基づかない理由で恫喝され精神的被害を受けたとして、165万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。開沼氏は『はじめての福島学』などの著書があり、福島原発事故後、福島の復興について積極的に発言。福島第一原発の汚染水処理を検討する経済産業省の委員も務めている。

訴状によると、原告は昨年10月8日、福島県広野町にあるNPO法人ハッピーロードネット主催の「日本・ベラルーシ友好訪問団2018報告会」に友人5人とともに参加。報告会の様子を写真や動画で撮影したところ、翌日以降、開沼氏から頻繁に連絡があり、原告の行為は「盗撮である」とした上で、謝罪や写真データの消去を求められた。


証拠として提出された原告と開沼氏のLINEやりとり(抜粋)

さらに開沼氏は、原告の友人らにも、電話やインターネット通じて繰り返す連絡。報告会への参加や撮影は「住居侵入」や「盗撮」にあたり、刑事罰に問われる可能性があるなどと攻撃。不法侵入で起訴や送検された事例を紹介し、「前科・前歴が付く」「目的の是非は不問で犯罪は成立する」「被害届が出れば、前科・前歴が付くところまで行く」などと記載したメッセージを送信し、謝罪やデータ削除を求めた。


証拠提出された原告の友人に送付された開沼氏のメッセージ

原告から謝罪を得られなかった開沼氏は3日後、原告の出身高校にも電話。原告が問題を起こしたので対応してほしいと教頭に要求した。また翌12日には、慶應義塾大学にも電話し、大学から指導してほしいなどと要求したという。原告は事実に基づかない恫喝を繰り返し受けたことにより、夜も眠ることができなくなり、深刻な精神的苦痛を被ったと主張している。

原告「言論弾圧と感じた」
原告の代理人・福田健治弁護士は記者会見で、「不法侵入」をしたとされる報告会に原告を誘ったのは開沼氏自身であると事実関係を説明。また「盗撮」に関しても、ほかに写真も撮っていた人は多数いたとして、すべてが事実に反する言いがかりで、「非常に悪質な事案」と指摘した。さらに「こうした人物が公職を務め、教員をしていることに重大な疑念を抱かざるを得ない」と批判した。また原告は、友だちとの関係に楔を打たれたのが一番辛かった。今、思い出しても辛いと口を震わせた。

NPO法人ハッピーロードネットが主催した「日本・ベラルーシ友好訪問団2018報告会」は、復興庁の「心の復興」事業により約740万円の交付金を受けて実施している「被災地の高校生が発信する福島復興ロードマップ作成事業」の一環。後援している福島民報社、福島民友新聞社で取り上げられたほか、東京電力のホームページやライターのブログなどでも幅広く紹介されている。

日本・ベラルーシ友好訪問団 2018 報告会. 事業報告
https://bit.ly/2TlXjxe

Standing Together, Creating the Future.

OurPlanet-TVは非営利の独立メディアです。視聴者の寄付を原動力に取材活動を展開しています。あなたもスポンサーとして、活動に参加してください。継続的に支援いただける方は会員にご登録ください。

※OurPlanet-TVは認定NPO法人です。寄付・会費は税額控除の対象となります。