2020/03/18 - 04:00

「労働組合の自由奪われた」関西生コン労組が国賠訴訟

関西地方のセメント業界の労働者でつくる労働組合「全日本建設運輸連帯労働組合(連帯ユニオン)関西地区生コン支部」の役員や組合員が相次いで逮捕されている問題で、同組合と組合員らは17日、警察や検察等の逮捕や起訴は違法だとして、国および滋賀県、京都府、和歌山県の4者を相手取り、総額2000万円の損害賠償を求めて東京地方裁判所に提訴した。

原告は、組合役員や組合員が、ストライキやビラまき、建設現場の法令違反を調査する「コンプライアンス活動」を理由に、威力業務妨害や恐喝容疑で警察に逮捕されている一連の事件(通称「関西生コン事件」)は、同組合に対する不当な訴追だと主張。組合員や関係者の逮捕は2018年7月から2019年11月までの1年5か月間に89回にのぼる上、同一人物への繰り返しの逮捕、拘留、起訴は異常だと指摘。また保釈条件に労働組合の脱退を求めるなど、労働権や団結権を侵害する違法な捜査が行われているとして、国家賠償請求を求めている。

原告弁護団の海渡雄一弁護士は提訴後の記者会見で、「捜査の目的は、労働組合の活動に対する違法な制約」だとして、裁判を通して違法性を明らかにしていく考えを示した。また原告の連帯ユニオンの小谷野毅書記長は、役員が一斉に捕まり、長期に拘留され、保釈条件により組合事務所にも行けない現状について、「組合活動が出来なくなっている。国による労働組合の壊滅作戦ではないか」と、憤りをあらわにした。

89人という組合員、関係者が逮捕された「関西生コン事件」は、労働組合活動を理由にした戦後最大規模の「刑事弾圧事件」とも言われ、昨年12月には、日本労働法学会の代表理事経験者ら78人が、憲法28条の労働基本権保障と労働組合法1条2項が明記する刑事免責を無視するものだとして、警察、検察、裁判所を批判する声明を発表している。

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