福島県内外で小児甲状腺がんが多発していることを受け16日、東京都江戸川区で、市民の手による甲状腺検査が行われた。市民が主催した健診としては都内初となる。
この日、検査に参加したのは区内に住む1歳から21歳までの45人。医師の説明を聞いたあと、一人ひとりベッドにあがり、甲状腺の超音波診断を行った。事故当時1歳になったばかりの息子を連れてきた母親は「ずっと気になっていたけど、機会がなく検査できなかった。今日のところは問題がなくて安心した」と、ほっとした表情を見せた。母親は、「何も見つからなければ安心だし、気になることがあれば本格的な検査を受けるといった判断ができるので、機会があれば今後も検査を受けたい」と話す。
甲状腺検査を主催したのは「甲状腺検診えどがわ」。江戸川区は千葉県に隣接しており、都内でも比較的放射線量が高い地域として知られる。東京都江戸川区在住の子育て世代が中心となり、昨年8月に発足。「甲状腺検診ちばの会」から超音波機器を借りるなどして検査にこぎつけた。
「甲状腺検診えどがわ」の西野陽子さんは「チェルノブイリ原子力発電所の影響で甲状腺がんが大幅に増えたのは5年目以降。これからこそ検診が必要だと思う」と、継続的な検診の実施に意欲を燃やす。「甲状腺検診えどがわ」では6月11日に検診の報告会を開催することにしている。