原子力規制委員会が原発再稼働の前提となる「新規制基準」導入に関して、一部5年間の猶予期間を設ける方針を示したことに対し3日、市民が東京・六本木の原子力規制庁前に集まり「5年猶予は認めない!」と抗議行動を行った。
原発の「新規制基準」は、東京電力福島第1原発事故を受けて、既存の規制基準では不十分であるとの教訓から、原子力規制委員会がより厳しい基準を策定し、7月の施行に向けて議論を重ねている。施行後は、既存の全ての原発に適用させ、基準に達しない原発は、電力会社が改修計画をたて、原子力規制委員会の審査を経て改修工事をし、その後さらに審査を行う再稼働の前提となるもの。基準を満たすには、数年がかかると見込まれていた。
ところが原子力規制委員会は3月19日に、シビアアクシデント対策について、特定安全施設や恒設のポンプなど、設置に時間がかかる設備については、五年の猶予期間を設けるとの方針を示した。また、関西電力大飯原発3、4号機については、9月予定の定期検査終了までは、「新規制基準」を適用させずに運転を継続させる方針を示した。
今回、抗議行動を呼びかけたのは、市民や原発の設計技術者などがメンバーの原子力規制を監視する市民の会。集まった人々は規制庁の前で「5年猶予は認めない!」と訴えた。
この日世田谷からかけつけた七戸わこさんは、原子力規制委員会の委員が国会の同意を得ないまま首相権限で任命されたことに不信を抱き、発足から委員会の傍聴を続けている。「委員の5人がどんな仕事をするのか、傍聴してきたが、発足から6ヶ月が経ち本質があらわになってきている。猶予を認めるということは、福島の原発事故から何も学んでいないということ」と危機感を強めた。
原子力規制を監視する市民の会の阪上武さんは、「5年猶予は明らかに電力会社の都合に合わせている。再稼動を促すようなもの。原子力規制委員会は、規制当局として一線を越えようとしている」と批判した。
関連サイト
原子力規制委員会
http://www.nsr.go.jp/
原子力規制を監視する市民の会
http://kiseikanshishimin.jimdo.com