これまで避難指定区域だった福島県田村市の都路地区で8月1日、帰還の準備を進めるため3か月間の期間限定で住民の宿泊が始まった。7月31日までに宿泊を届け出たのは、120世帯380人の住民のうち、28世帯112人。政府は住民帰還に向け、一人ひとりに線量計を配布した。
今後の避難指示解除を向け、住民帰還の切り札として、住民に配布されたのは、これまでにない新しい線量計だ。従来のガラスバッジとは異なり、電子線量計をベースとした個人線量計で、製品名を「D-シャトル」という。開発したのは、ガラスバッジの生産で高いシェアを誇る千代田テクノルと産業技術総合研究所。電池が1年以上持ち、振動にも強い上、個人が自宅で、1日の線量と着用して以降の積算線量を確認できる。更に、専用のソフトウエアを使用すると、1日ごと、1時間ごとの線量を表示し、データベース化できる。
7月下旬には、内閣府原子力被災者生活支援チームなどの職員が田村市で生活し、同線量計による24時間の積算線量を公表した。電子線量計を改良した製品のため、コントロールは不要で、ガラスバッジより数値は高く出る。政府が、避難指定区域内の帰還、復興の切り札と期待する「D−シャトル」。製造に4ヶ月かかるため、今後、増産体制に入る見込みだ。同製品を開発した千代田テクノルの開発責任者と営業責任者に話を聞いた。