原子力規制委員会は13日、安定ヨウ素剤の配布方法などを見直す「安定ヨウ素剤の服用等に関する検討チーム」の第1回会合を開いた。検討チームの座長には、放射線医学総合研究所の明石真言執行役が就任。全住民への事前配布から、子どもや妊婦を優先するなどの方針を決めた。
今回の見直しは、東京電力福島第一原発事故を受けて、世界保健機関(WHO)が昨年、ガイドラインを出したことを受けて行われた。会議ではこれを元に委員らが議論。配布の優先を被ばくの影響の大きい子どもや若者、妊婦にすることなどを決めた。
また、服用の効果的なタイミングについて、放射性ヨウ素が体内に入る24時間前から2時間後とするWHOの指針も取り入れる。日本医師会の石川広理事は、「原発事故で放出される放射性プルームの情報など、政府は国民に対して情報を開示することが重要だ」と指摘した。
現在、安定ヨウ素剤の事前配布は、13道県16原発の半径5キロ圏の全住民が対象となっている。自治体が配布を行うが、報道では約4割が未配布であるといわれている。検討チームは、次回の会議で配布方法についての議論を行い、年度内に改定案を取りまとめる予定だ。
座長
明石 真言 国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構
放射線医学総合研究所 執行役
委員
荒田 尚子 国立研究開発法人 国立成育医療研究センター、周産期・母性診療センター 母性内科 診療部長
石川 広己 公益社団法人 日本医師会 常任理事
高村 昇 国立大学法人 長崎大学 原爆後障害医療研究所
国際保健医療福祉学研究分野 教授
永田 泰造 公益社団法人 日本薬剤師会 常務理事
山口 芳裕 一般社団法人 日本救急医学会 原子力災害対応特別委員会 委員長、杏林大学 医学部 高度救命救急センター 教授
横谷 進 公立大学法人 福島県立医科大学、ふくしま国際医療科学センター 特命教授、甲状腺・内分泌センター長
横山 邦彦 公立松任石川中央病院 副院長、PET センター長
配布資料
http://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/anteiyousozai/210000002.html