東京電力福島第1原発事故後、福島県伊達市の住民の個人被曝線量計測をめぐり、住民の説明なく研究論文が公表され、研究への参加に同意していない人のデータが利用されたり、線量を過小評価する誤りが起きていた問題で、原子力規制委員会の更田豊志委員長は9日の定例記者会見で「研究成果の信頼性を揺るがしてしまうのは大変遺憾」と述べた。一方、規制委員会の活動や判断に直接影響を及ぼすものではないとの考えを示した。
更田委員長は昨年1月17日、原子力規制委員会の席上で、1時間当たり「0.23マイクロシーベルト」という値は、ガラスバッチで計測した個人線量と比較すると「4倍程度、保守的」と指摘。「改めないと帰還や復興を阻害する」と数値の見直しを提案した。
更田委員長が0・23マイクロシーベルトの見直しを提案(2018年1月17日)
クリックすると会見の動画が始まります。
この発言を受け、同月19日に開催された放射線審議会では、個人線量などを調査した論文などを参考に、空間線量率と実際の被曝線量の関係を見直しなどを検討していた。その際、福島県立医大の宮崎真氏と東京大学の早野龍五名誉教授が公表した論文をなどが検討の対象となるという。
放射線審議会で0・23マイクロシーベルトの見直しを検討(2018年1月19日)
この議論の経過で、昨年6月22日に開催された第141回総会放射線審議会で、事故後に策定された放射線基準を見直す資料として、福島県立医大の宮崎真氏と東京大学の早野龍五名誉教授の論文を取り上げていた。
クリックすると会見の動画が始まります。