ノーベル平和賞を授賞した国際的な医師などの組織IPPNW(核戦争防止国際医師会議)は29日、東京・永田町の衆議院会館で記者会見を開き、東京電力福島第一原発事故の政府の対応が不十分であると勧告を行った。
勧告の内容は、子どもや子どもを出産できる年齢の女性の年間被ばく線量が、1ミリシーベルト以上と予想される時は、移住の住居・雇用・教育などの面で補償が行われるべきとの点や、原発作業員の生涯にわたる放射線被ばく登録管理制度の早期確立など。
IPPNWは、24日から26日まで、広島で開催された第20回核戦争防止国際医師会議に出席、27日には東京で福島の原発事故と人々の健康というテーマで国際シンポジウムを開催、28日には、福島県川内村の水田、仮設住宅などを訪問、福島県立医科大学の教授などと意見交換を行った。
IPPNWの共同代表ティルマン・ラフ氏は、日本政府や政府のために働いている専門家に対して、「年間100ミリシーベルト以下の被ばく線量が安全であるという科学的な根拠はありません」と批判した。福島県川内村の仮設住宅で暮らす人びとを訪問したというインド医師連盟の事務総長アラン・ミトラ氏は、「地域の除染は必要だが、日本政府は被ばくの危険性を少なく評価している」と話した。
科学者のパトリス・サットン氏は、今回の視察で、原子力が人の遺伝子を崩壊させるだけでなく、家族や地域のつながりを破壊してしまっていると感じたという。「土壌は汚染され、何世代にもわたり健全な食べ物をつくれない、ツケを払うのは未来の世代だ」と話し、日本政府が原子力エネルギーの選択を続けるのは間違っていると訴えた。
8月27日
国際シンポジウム「福島の原発事故と人々の健康」
(1)現状の分析と報告
(2)パネル討論