2018/01/17 - 03:00

横浜最大「ホタル生息地」の再開発計画が決定

横浜最大の「ホタル生息地」であり、自然豊かな里山として知られる「瀬上沢」。この里山の木々を伐採し、公園や宅地、商業施設などを建設する都市計画案が15日、横浜市の都市計画審議会で可決された。

横浜市の都市計画審議会は、学識経験者、横浜市議、自治会長など26人で構成し、市が提案する都市計画を審議する機関。審議会で市の担当者が「瀬上沢」を開発するための都市計画案を説明すると、委員からは意見や質問が相次いだ。

今野典人委員(横浜市議)は、都市計画法で開発が制限されている「市街化調整区域」を「市街化区域」に変更して開発することを指摘し「国の方針と逆行するのではないか。疑問がある」と意見を述べた。また、緑地を削り新たに2つの公園をつくることについて、山野井正郎委員(神奈川県宅地建物取引業協会副会長)は「緑地に公園をつくることが自然破壊になるのではないか。これがベストの案なのか疑問府が残る」と今回の計画に反対の立場を示した。

市の担当者は、開発計画が地権者の同意を得ていることや、緑地の一部を「特別緑地保全地区」に指定して保全することなどを説明し「緑を守るべきとこは守る」と主張した。また、今後横浜市の空き家率が増加する懸念を示しながらも「若い人に選ばれる住宅地を供給した方がいいのではないか」と説明した。審議が約1時間にわたって行われた後、挙手による採決が行われ、賛成多数で計画案を可決した。

審議会長の森地茂教授(政策研究大学院大学)は、OurPlanetTVの取材に対して、開発が抑制される「市街化調整区域」であっても、他の地域では地権者が動物霊園をつくった事例があると説明。「市街地にお年寄りばかりだと、商店や生活サービスが維持できなくなる。今のままでいいんだって言っていると、皆さんが困るし地域が衰退していく。長期を見渡して決断しなければいけない」と開発の必要性を述べた。

今回の審議会には、一般傍聴枠20人に対して80人余りがかけつけて、席が抽選になるなど、市民の関心が高かった。開発計画の撤回を求めている地元の市民団体「横浜のみどりを未来につなぐ実行委員会」のメンバーは、審議会開催前に横浜市庁前で「開発計画を止めてください」と抗議行動を行った。審議会を傍聴した同団体の角田東一さんは「周辺住民の同意をとっていない。このままでは緑地がどんどんと減っていく。最終決定で市長が却下して欲しい」と肩を落とした。

関連リンク
【配布資料あり】横浜市都市計画審議会
http://www.city.yokohama.lg.jp/kenchiku/kikaku/cityplan/tokeishin/
横浜のみどりを未来につなぐ実行委員会
http://livegreenyokohama.com/
NPO法人ホタルのふるさと瀬上沢基金
http://www.segamikikin.org/
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