中野区新井にある中野区最大の「平和の森公園」。自然豊かな公園として、長年の間、市民に親しまれてきた。しかし、東京五輪を契機に中野区がスポーツ公園に作り変える計画が浮上し、反対運動が起きている。4日、区民が工事の中止を求め、住民監査請求を申し立てた。
申し立てを行ったのは、区内の市民らでつくる「緑とひろばの平和の森公園を守る会」のメンバーら6人。園内の樹木約1万7000本を伐採し、スポーツ公園に大規模リニューアルする計画は、緑豊かな公園の価値を減少させるとして、工事の中止を求めている。また住民監査請求に先立ち、同会のメンバーらが公園で集会を開き、「樹木を切るな。区長は私たちの声を聞け」と声を上げた。
平和の森公園(この草原は陸上競技のトラックとなる予定だ)
「平和の森公園」は旧中野刑務所の跡地にあり、治安維持法制定(1925年)後は、大杉栄や小林多喜二など、思想犯が多数収監されていた歴史を持つ。このため、1985年に開園した同公園は「平和の森公園」と命名され、園内には平和資料展示室が設けられているほか、広島や長崎の原爆を生き延びたアオギリやクスノキが植樹され、区民に親しまれてきた。
しかし区は東京五輪に向け、市民のスポーツ活動の意欲を高めることを目的とした、同公園の大規模再開発を計画。300メートルの陸上トラックや大型体育館、バーベキューサイトなどを建設すると発表した。
公園の再開発計画(中野区のホームページより)
これにして市民は反発。「緑とひろばの平和の森公園を守る会」を結成し、区に対して計画の撤回を求めてきた。しかし区は先月、基本設計を発表。現在、工事のための仮囲い作業などが進められている。同会メンバーの羽根田新平さんは、「広場は年寄りが散歩したり、子どもが遊んだり、誰もが自由に入ってこられる場所。このままがいい」と公園の緑を残して欲しいと訴えている。木々の伐採工事が始まるのは来年1月9日。市民らは同日、伐採の中止を求め、抗議行動を行う予定だ。
工事エリアにある木々
関連サイト
中野-緑とひろばの平和の森公園を守る会
http://peace-woods-park.society.ne.jp/
中野区・平和の森公園再整備基本設計
http://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/504000/d023319.html