東京電力福島第一原子力発電所事故後、甲状腺がんと診断された子どもたちを支援している市民団体「3・11甲状腺がん子ども基金」が、26日から療養費の給付を開始した。初の給付を受けたのは35人で、そのうち3人がRI治療(アイソトープ治療)の必要のある重症患者だった。
県外に重症患者が多い傾向
35人の内訳は、福島県26人のほか、神奈川県3人、宮城県、群馬県、千葉県、埼玉県、長野県、新潟県が各1人。年齢は現在10歳から25歳までで、男性14人に対し、女性は21人。すでに手術を終えていたり、手術が決定している患者について分析したところ、福島県内の患者は8割が半摘だったが、福島県外では、がんが進行してから見つかっている患者が多く、8割が全摘だった。またリンパ節転移についても、県外では90%近くに転移があったという。
さらに、このうち男性2人と女性1人の計3人が、10万円の追加給付(計20万円)を受けるRI治療(アイソトープ治療)の適応患者だった。RI療法は、肺転移している場合の治療法で、具体的には、高濃度の放射性ヨウ素を内服し、遠隔転移している甲状腺がんを内部被曝させて破壊するというもの。医療従事者や家族などへの被ばくを防ぐために、厳格な遮蔽設備が必要となり、日本では現在、治療を受けられるベッドが全国135床しかない。
県民健康調査以外で診断も3人
福島県は、事故当時18歳以下だった県民を対象に甲状腺検査を実施し、これまでに175人以上ががんまたはがんの疑いと診断されている。しかし、今回、この検査では見逃され、自覚症状などによって、個別に健診し、甲状腺がんと診断された患者が3人いた。
同基金の崎山比早子代表理事は、「今、福島県では検診縮小が検討されようとしているが、実態に逆行している。福島県内では半摘で済んでいる患者が多く、検診によって早期発見早期治療が実現していることが大切だ」と述べた。
関連サイト
3・11甲状腺がん子ども基金
http://www.311kikin.org/