政府は20日、東京電力福島第一原子力発電所事故の影響で立ち入りが制限されている「帰還困難区域」の除染費用について、東電には求めず、国が負担する方針を明記した指針を閣議決定した。
来年度300億を国民負担
決定した基本方針では、政府は来年度、帰還困難区域の中に住民が居住できる復興拠点を設置。この復興拠点を優先的に除染を進めて、5年後をめどに避難指示解除を目指す。復興拠点の除染は国費で行うと、除染費用として、来年度予算として約300億円を計上する予定だ。また、これに伴い、1月から始まる通常国会に、福島復興再生特措法の改正案を提出することにしている。
これまで、除染の費用は、汚染者負担の原則に基づき、東電が負担することが法律で定められていたが、大きな方針転換となる。閣議決定後のブリーフィングでは、記者から「東電救済ではないか」と質問が相次いだか、内閣府 原子力災害対策本部の新居泰人参事官は「国が前に出て、除染とインフラ整備を一体的にやっていく。政策の新たな展開だ」「町づくりのための除染だ」と説明した。