金田勝年法務大臣が13日、死刑囚2人の死刑を執行したと公表したことを受け、人権団体3団体が記者会見をし抗議した。安倍政権下では、第1次安倍内閣で10人、第2次、第3次安倍内閣で19人となり、通算29人となった。会見を行ったのは、死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90と監獄人権センター、「死刑を止めよう」宗教者ネットワークの3団体。
監獄人権センターの海渡雄一弁護士は、岡山地裁で裁判員裁判による死刑判決後、自ら控訴を取り下げた住田紘一死刑囚(34)=広島拘置所=について、死刑をめぐる国際的な潮流は一審だけで確定するのではなく、上級裁判所で審査する、義務的上訴制度の導入が広がっており、国連からも勧告されていると批判。
2013年以来、裁判員裁判による死刑判決3件が、東京高等裁判所によって破棄され、その判断が最高裁判所によって維持されているが、住田死刑囚の事件は同じような判断となった可能性もあり、問題性が多いと批判した。
また京都、兵庫、島根の3府県で飲食店経営者の女性4人が相次いで殺害された事件で、強盗殺人罪などに問われ、死刑を言い渡された西川正勝死刑囚(61)=大阪拘置所=については、「再審請求中であり、政府が死刑を執行することは許されない」と指摘し、再審請求中の死刑囚に対する死刑執行は、1999年12月の小野照男死刑囚に対する執行以来であり、大きな問題だと批判した。
死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90の深田卓さんは、死刑の判決が確定してから執行するまでの期間が、不公平だという議論出ていることについて、「とんでもない間違いだ。死刑そのものが不平等で、判決が出ている。不平等なものの上に乗っかった上で、執行自体を平等化してどうするんだ」と指摘した。
「死刑を止めよう」宗教者ネットワークの柳川朋毅さんは、 九州豪雨で未だ多くの人が苦しんでいる中での死刑執行であり、「あの災害によって、日本の多くの人が人の死に思いをはせている。普通だったらこの時期に国家は人を殺さない。国家は人の命を助けるためにある」と憤った。
監獄人権センターの声明
http://www.cpr.jca.apc.org/archive/statement#1223
アムネスティ・インターナショナル日本
http://www.amnesty.or.jp/news/2017/0713_6941.html