国連が「世界難民の日」と定めている6月20日、外国人を支援している市民団体が、法務省入国管理局に対して要望書を提出し、外国人収容施設における人権侵害をやめるよう申し入れをした。
要望書を提出したのは、日本の入国管理制度下での人権問題に取組む市民団体「SYI(収容者友人有志一同)」。茨城県牛久市にある東日本入国管理センターで今年3月、収容中のベトナム人の男性が死亡したことを受けたもので、男性が死亡に至った経緯に関する調査などを求めた。
牛久の収容所で、医療受けられず男性死亡
SYIによると、男性はインドシナ難民として28年前に来日。昨年11月に名古屋入国管理局に収容された後、3月初旬に東京品川区にある東京入国管理局を経て、3月15日に牛久市にある東日本入国管理センターに移された。2日後の17日夜、男性は口から泡を吹き、血を吐いて失禁していたが、1日だけ医務室に滞在しただけで、病院には連れていかれなかったという。
男性は24日朝、再び痛みを訴えたが、職員は対応せず、同日夜に男性が倒れているのを発見され、翌25日深夜に死亡した。死因はくも膜下出血だった。東日本入国管理センターは、「処遇に問題はなかった」とコメントを出している。
「こんな場所で死にたくない」「助けてください」
男性の死亡を受け、東日本の入国管理施設では、収容されている外国人による、ハンガーストライキなどもおきており、収容者の支援者のもとには、「(男性は)1週間前から痛がっていたけど、職員が対応しなかった」「こんな場所で死にたくない」「助けてください」などと訴える悲痛な手紙が届いるという。
SYIの織田朝日さんは、「入管の職員は、収容者が体の不調を訴えても、うるさいからと独房に連れて行ってしまう」と収容施設の医療環境を批判。当時の責任者である東日本入国管理センター所長の解雇とともに、収容されている外国人に対する処遇を改善も求めている。
難民認定1万人に28人だけ〜日本の難民政策
シリア情勢等を受け、ここ数年、欧米では、難民の受け入れが大きな社会問題となっているが、日本の入国管理制度は先進国の中でも非常に特殊で、難民の受け入れに極めて消極的だ。昨年1年間で、日本で難民認定を申請した外国人は1万901人にのぼるが、認定されたのはわずか28人にとどまる。織田さんは、「日本は難民として逃れてきている外国人を収容してしまう。しかも、収容所の状況があまりにひどい。」と日本の入管政策を批判した。
関連サイト
収容者6人からの手紙
http://pinkydra.exblog.jp/25673754/
SYI (収容者友人有志一同)
http://pinkydra.exblog.jp/