日本スポーツ振興センター(JSC)は24日、定例の記者会見を開き、17日の技術審査会で新国立競技場の基本設計が了承されたと発表した。しかし、事業者との契約上、決定された設計図は、実施設計終了後の11月末以降に事業者から引き渡しがあり、その後、公表するという。本格工事に入るまで、設計図が公表されない事態に対し、JSCは、すでに公表されている技術提案書の設計図から大きな変更をする可能性はないため、問題はないとの見方を示している。
この日、会見に出席したのは、JSCのほか、設計・施工を担う大成建設、梓設計、隈研吾設計事務所などの共同企業体の担当者。実物の1000分の1の大きさの模型や新たなデザインパース(完成予想図)を披露し、建築家の隈研吾氏が設計概要を説明した。
隈氏は、障害者団体などとの話し合いにより、車椅子席や多目的トイレの位置を変更したと説明。「世界のスタジアムの上を行くユニバーサルデザインを実現したい」と強調した。また、植栽を増やしたり、選手の更衣室などを変更したと説明した。
今回、発表された基本設計の概要には、昨年12月の技術提案書の計画から大きな変更はない。JSCによると、今後、これ以上の大きな変更はないという。新国立競技場設置本部長の池田貴城理事は予定通り「年内に工事着工する」と述べた。
ただ聖火台の場所はまだ決まっておらず、陸上競技の練習施設として使われるサブトラックの場所は、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が調整中だ。総工費約1490億円の変更はないとされるが、組織委員会が担当する施設の整備費の増額分は、東京都の負担となる見通しで、新たな都知事が五輪施設についてどう対応するかが焦点となる。