小児甲状腺がん
2015/11/28 - 12:13

甲状腺がん悪性・悪性疑い152人〜福島県民健康調査

 
東京電力福島第一原発事故後、福島県が実施している「県民健康調査」の検討委員会が30日、開催され、当時18歳以下だった子どもを対象に行っている甲状腺検査の結果などが公表された。検査を実施している福島県立医大によると、2011年から今年9月30日までの間に、152人の子どもが甲状腺がんの悪性または悪性疑いと診断された。
 
今回の検討委員会では、2011年から2013年までの先行検査(1巡目)については口頭のみでのデータ公表となった。福島県立医大の大津留晶教授の説明によると、先行検査で、甲状腺がんの悪性または悪性疑いと診断された子どもは、良性結節と確定診断を受けた1人を除き、1人増の113人となった。また手術を終えて甲状腺がんと確定した子どもは2人増え100人となった。
 

 
また本格調査(2巡目)で、悪性または悪性疑いと診断された子どもは、新たに9人増えて39人となり、そのうち15人が手術を終えて、甲状腺がんと確定した。穿刺細胞診で悪性と診断された39人のうち、先行検査でA判定だった子どもは37人で、前回A1と診断された19人にはまったく所見はなかったという。子どもたちの年齢は、事故当時6才から18才で、摘出された甲状腺がんは最大30.1ミリだった。
 
配布資料
https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/21045b/kenkocyosa-kentoiinkai-21.ht…
 

 
岡山大学津田敏秀教授の分析
本格検査は現在なお進行中であり、本格検査において示された発生率比は、その受診者のうちがん細胞があると判断された症例(以下、がん症例)以外の受診者は全員、がんがないという仮定の下に計算されている。これまで結果の判明が進むにつれてがん症例が増える割合が増加する傾向が見られ続けてきたので、現在示されている発生率比は、地域により大きく過小評価されていると思われる。
 





 
検討委員会での記者会見にて、基本調査の①-8ページの福島県住民の外部被ばく線量分布と、甲状腺検査(本格検査)の②-6ページの甲状腺がん症例の外部被ばく線量分布が大きく異なり、甲状腺症例の外部被ばく線量が高い方に分布しているという指摘があった。このオッズ比に関して、性別を調整して表2として示した。この調整オッズ比とその95%信頼区間の推定結果は、EpiInfo 7TMのStatCalcの最尤推定値(Mid-P)を用いた。95%信頼区間の下の値が1より大きいと、いわゆる「統計的有意差がある」ということになる。
 
その結果、明瞭な量反応関係が観察された。つまり、外部被ばく線量に関連する何らかの要因(恐らく内部被ばく)が甲状腺がんの発症に関与していることが、より明瞭に推察できることになった。1mSv未満もまた、被ばくしていると考えられるので、示されたオッズ比は過小評価されている。先行検査では、平成23年度、24年度、25年度の別に、甲状腺がん症例の線量分布が発表されておらず、平均有病期間が平成26年度としてほぼそろっている本格検査とは異なり、明瞭ではなかった。基本調査の住民の性・年齢・市町村別線量分布、先行検査および本格検査における甲状腺がん症例の性・年齢・市町村別線量分布の発表が待たれるところである。
 

 


 

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