2020年東京オリンピックのメイン会場となる国立競技場の建て替え工事に伴い、来年1月中の立ち退きが迫る都営霞ヶ丘アパートの住民が22日、アパートの取り壊し計画の見直しを求めて、3度目の要望書を東京都に提出した。アパートで暮らす60代の女性は「一方的な立ち退きを求められ、納得できない」「高齢で移転する力ない」と計画の見直しを訴えた。
要望書を提出したのは、霞が丘アパート住人有志。要望書は、舛添都知事宛で、都知事みずから住民の声を聞くことや、アパートを数棟残し希望者がそこで暮らせるように求めている。
国立競技場に近接する霞が丘アパートには、以前は約300世帯が暮らしていたが、2013年11月より転居を求められ、若い世代の世帯から移転し、現在は70代以上の高齢者を中心に約140世帯が暮らしている。今後、都は移転先として、新宿区と渋谷区に3つのアパートを用意し、10月に抽選で移転先を決める方針だ。
要望書提出後の会見で、77歳の住民の女性は、「人間を抽選であちこちに配る。納得できない」と批判。94歳の母を介護しながら暮らす68歳の住民の女性は、「住民は、高齢者の様子を見に行ったり、おかずのお裾分けをしたり、互いに寄り添って生活してきた。一方的な移転計画で、外部に対するおもてなしをするなら、私たち高齢者、経済的弱者に対する思いやりはないのでしょうか」と訴えた。
OurPlanetTVの取材に対して、都の都市整備局の担当者は「移転に協力していただく。方針の変更はない」と回答した。
関連サイト
霞ヶ丘アパートを考える会
http://kasumigaoka2020.blogspot.jp/