安倍内閣は12日、東京電力福島第一原発事故で甚大な被害を受けた福島の復興指針を改定し、閣議決定した。「帰還困難区域」を除く「避難指示解除準備区域」と「居住制限区域」の避難指示を2016年度末までに解除する。一方、福島県は国に対して要望書を提出。「避難指示が継続している避難者等」を対象に、災害救助法に基づく応急仮設住宅の延長を求めた。国と県が、避難住民の帰還を促進するなか、自主避難者(避難指示区域外)の住宅支援継続は、未定のまま。避難者の不安は増大している。
自主避難者への支援について、県が作成した要望書では、高速道路無料化の措置や、避難先での情報支援事業などの継続を国に求めているが、応急仮設住宅の供与期間の延長については、昨年の要望書では、対象が「地震・津波による被災者や原子力災害被災者」となっていたのが、今年は「避難指示が継続している避難者等」と狭まっている。連日、自主避難者が福島県に要望している声は反映されていない。
この日、県は国への要望書提出前に、県選出の国会議員を集めて、要望書の説明会を開催した。冒頭のあいさつに立った内堀知事は、「要望書を手に持つと、分厚さ、重さを実感していただけるかと思います。福島の復興を未来に向けて繋げたい」と話したが、議員から一番多く意見が出されたのは、要望書に記載されていない自主避難者への住宅支援継続だった。
増子輝彦参議院議員は、「国は県に判断を委ねていると話す。(知事に)自主避難者の住宅支援の延長判断をお願いしたい」と訴えた。山口和之参議院議員も、「自主避難者をばっさり切るのか、支援を継続して安心を続けていくのか考えてほしい」と支援の継続を求めた。荒井広幸参議院議員は、「災害救助法ではなく、別法をたてていくべきだ。国の責任をもっと明確に言うべきなのでは」と内堀知事にせまったが、知事は回答しなかった。
内堀知事は、この後、復興庁、国交省、文科省、農水省、経産省、国土交通省、厚生労働省、官邸と周り要望書を提出した。
2年後の2017年3月までに「帰還困難区域」以外が全て避難指示解除されれば、全て自主避難者となり、現在のような応急仮設住宅(みなし仮設)は、全て打ち切られる可能性がある。
関連サイト
福島県が国に提出した要望書 2015年「ふくしまの復興・創生に向けた提案・要望」
http://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/library/150612_youbousho.pdf