(動画は2014年8月6日の会議中の様子)
福島原発事故に伴う住民の健康管理や医療支援を検討している専門家会議の運営に問題があるとして24日、千葉県などのホットスポットに暮らす住民らが井上環境副大臣あてに抗議の申し入れを行った。
申し入れを行ったのは「放射能から子どもを守ろう関東ネット」のメンバーをはじめ、首都圏で被ばくによる健康問題などに取り組む市議会議員や保護者ら。申し入れ書では、専門家会議が「原発事故子ども・被災者支援法」を根拠に設置されたにも関わらず、設置目的とはかけ離れた議論が続いていると指摘。傍聴者に対する規制も厳しく、一部の傍聴者を差別的に閉め出しているとして、傍聴規制を改めるよう求めた。
前回の第9回会合では、座長の発言などを問題視した母親らが、座長の解任を求める要望書を浮島政務官に手渡ししたほか、終了間際に「座長解任」などと書かれたプラカードを掲げる傍聴者もいた。こうした行動を取り締まるために、環境省の事務局が、傍聴の申し込みを厳格化。前回の傍聴者の多くが、27日の会合で抽選漏れになったため、申し込みをした市民の間では、実際には「抽選」が行われていないのではとの声があがっている。
傍聴者を恣意的排除か
同会議はスタートしたのは昨年11月。当初は抽選もなく、また傍聴に関する規制も特に設けられていなかった。しかし途中から抽選制を導入。また傍聴席が全席指定となり、座席番号のふってある用紙を手にした環境省の職員が、傍聴者の言動をチェックするようになった。これを機に、わずかな失笑や話し声を出すだけでも注意を受けるようになり、一度、注意を受けると、次回の会合以降、一切傍聴が出来なくなっている
中には、特にヤジを飛ばしたり、注意を受けた心当たりがないにも関わらず、「本会議にて再三の注意にも関わらず、静粛に傍聴いただけず、会議の妨げとなったため、傍聴をお断りさせていただきます。」との通知がきた人もいる。本人がこのことを指摘すると、その次からは連続して「抽選漏れ」のために傍聴ができないとの通知がくるようになったという。
OurPlanetTVの調べによると、今回、傍聴を申し込みをした22人に確認したところ、「傍聴可能」となった人が7人で、「抽選漏れ」による「傍聴不可」は15人にのぼった。今回、初めて、傍聴を申し込んだ人や、これまで一度も抽選にもれたことのない人が「傍聴可」となっている一方、以前、抽選からもれた人はすべて「傍聴不可」となっている。また、これまで「会議の妨げとなったため、傍聴をお断りさせていただきます。」との通知がきていた人すべてに、今回は「抽選もれ」の通知が届いているため、市民の間では環境省への不信感が高まっている。
申し入れを行った流山市議会の阿部はるまさ議員は「抽選という隠れみのを使って、恣意的傍聴者を排除しているとすれば違法行為であり、市民的権利の侵害である。国家賠償裁判にも該当する行為だ」と批判。市民に対しよりオープンな運営を求めたが、環境省からは対応を見直す姿勢は示されなかった。各回の申し込み人数と傍聴可能者人数をについて、環境省の担当者は「何人申し込みがあったかは、個人情報の観点から教えることができない」と回答している。
環境省の傍聴に関する事例
Aさんのケース
第1回(11月)申込みせず
第2回(12月)申込みせず
第3回(2月) 傍聴可
第4回(3月) 傍聴可
第5回(4月) 傍聴可
第6回(5月) 傍聴可
第7回(6月) 傍聴可
第8回(7月) 傍聴可
第9回(8月) 傍聴可
第10回(8月)傍聴可
Bさんのケース
第1回(11月)申込みせず
第2回(12月)申込みせず
第3回(2月) 傍聴可
第4回(3月) 傍聴可
第5回(4月) 傍聴可
第6回(5月) 傍聴可
第7回(6月) 傍聴不可(会議の妨げとなったため、傍聴をお断りさせていただきます)
第8回(7月) 傍聴不可(抽選外れ)
第9回(8月) 傍聴不可(抽選外れ)
第10回(8月) 傍聴不可(抽選外れ)
Cさんのケース
第1回(11月) 傍聴可
第2回(12月) 傍聴可
第3回(2月) 傍聴可
第4回(3月) 傍聴不可(会議の妨げとなったため、傍聴をお断りさせていただきます)
第5回(4月) 傍聴不可(会議の妨げとなったため、傍聴をお断りさせていただきます)
第6回(5月) 傍聴不可(会議の妨げとなったため、傍聴をお断りさせていただきます)
第7回(6月) 傍聴不可(会議の妨げとなったため、傍聴をお断りさせていただきます)
第8回(7月) 傍聴不可(会議の妨げとなったため、傍聴をお断りさせていただきます)
第9回(8月) 傍聴不可(会議の妨げとなったため、傍聴をお断りさせていただきます)
第10回(8月) 傍聴不可(抽選外れ)