東京電力福島第1原発事故に伴う南相馬市の特定避難勧奨地点の住民らでつくる南相馬特定避難勧奨地点地区災害対策協議会と南相馬避難勧奨地域の会の2団体は4日、指定解除に反対する署名1210人分を政府の原子力災害対策本部に提出した。
この日、福島市の復興庁福島復興局を訪れたのは、南相馬市の特定避難勧奨地点の8つの行政区長でつくる「南相馬特定避難勧奨地点地区災害対策協議会」と同地域の住民らでつくる「南相馬避難勧奨地域の会」の2団体のメンバーと支援者ら約20人。事前に署名提出を伝えていたにも関わらず、担当者は不在だったため、長時間廊下で待機することとなり、行政区長などからは「住民をバカにしている」などと、提出の前から対応のまずさに批判があがった。
ようやく署名できたのは、30分以上経ってから。同協議会の菅野秀一会長が要望書を読み上げ、住民1210人から集めた「不当な特定避難勧奨地点の指定解除に反対する署名」を手渡した。同会の小沢洋一世話人らが福島市のを訪れ、担当者に署名を手渡した。
要請書では、指定解除を隣接する避難区域の同市小高区や飯舘村の同時期とすることや解除後の賠償も同等とすることなどを求めた。また、庭の一点だけで被曝線量を評価しないことや政府の除染後も地面やコンクリートでみられる放射性物質汚染や山からの再汚染の実態などを再調査するよう要求している。
県庁で記者会見した菅野会長は「とても納得できない。政府が指定解除に向けて放射線量を測定している庭や玄関先以外の所で高い線量の場所が多くあり、指定解除は認められない」と述べた。また行政区長の一人・藤原保正さんは、現地対策本部の担当者が不在だったことについて「我々をなんと考えているのか。怒りをどこにぶつけていいのかわからない」と激しく批判。「掃除をしてごまかそうとしているが、子ども達が走り回れるようになるまで解除すべきではない」と訴えた。
同市では152世帯が特定避難勧奨地点に指定されている。政府は10月中の指定解除を目指していたが延期。南相馬市役所に「清掃相談窓口」を設置して、住民の不安解消に取り組んでいる。