東京電力福島原発事故の被災者救済を求め、原水禁(原水爆禁止国民会議)などの市民団体が14日、「原発事故子ども・被災者支援法」の基本方針撤廃と同法に即した具体的な施策を求める請願署名約100万筆を政府に提出した。
請願署名を提出したのは、長年、核兵器廃絶運動を展開している「原水爆禁止日本国民会議」や福島平和フォーラムなどのメンバーら。去年9月に呼びかけをはじめ、3ヶ月間で96万筆を集めた。子ども被災者支援法の基本方針が、被災者の求めている内容とかけ離れているとして、基本方針の撤回を求めるとともに、被災者に寄り添った具体策を実施するよう求めている。また、追加被曝が年間1ミリシーベルトを超える地域を支援対象地域に指定し、同地域の住民に対し、生涯にわたる定期健康診断を保障することを求めた。しかし、署名を受け取った復興庁の担当者は「基本方針は撤回するつもりはない」「来年度予算に向けて新たな支援策なども検討する」と従来の回答を繰り返した。
環境省「福島県外の健康調査」を否定
また署名に対する回答の中で、環境省の担当者は「県外の健康管理については専門の検討会が開催されているが、WHOなどの知見によるとがんが増加する見込みはない。まずは福島県の健康調査を進めていくべきだと考えている」と述べた。
福島県外の健康管理については、環境省が子ども被災者に基づいて、去年11月に、有識者会議を設置。過去2回の会議では、被ばく線量の推定の議論にとどまり、健康調査を実施するかどうかの結論からはほど遠い状態だ。こうした状況の下で、環境省の事務方が、福島県外での健康管理調査を否定したことは、事前に有識者会議のシナリオが用意されていることを示唆している。
福島から参加した五十嵐史朗さんは「被災地の高校生は自分が将来、出産していいのか悩んでいる。住民の不安に答えないのか」と現地の様子を涙ながらに訴え、国が前面に出て、定期的な健康調査を実施するよう求めた。
「原発事故子ども・被災者支援法」は2012年6月に超党派の国会議員による議員立法として提出され、全回一致で成立したものの、昨年秋に閣議決定された基本方針は被災者の求める内容とはほど遠く、事実上の「骨抜き」だと批判されている。