2012/11/21 - 21:56

「野宿者排除だ」~行政代執行迫る中、当事者ら会見

江東区立竪川河川敷公園で野宿生活をしている当事者や支援者らが20日、区が行政代執行により強制排除しようとしているとして、都内で記者会見を行った。江東区は今年2月にも同公園で行政代執行を行っており、弁護士らは「野宿者排除が目的だ」と批判した。
 
竪川河川敷公園は、高速道路の高架下にある全長2キロの細長い公園で、雨風をしのぎやすいこともあり、40人ほどの野宿者がテントをはり生活している。江東区は老朽化を理由に整備計画を実施。2009年から工事を進め、去年7月から順次リニューアルオープンしている。
 
今回、行政代執行の可能性が指摘されているのは、公園西側にある15のテント。テントの住人は、もともと公園内の別の場所にテントをはっていたが、今年2月に行政代執行の対象になり、この場所に移動してきた経緯がある。
 
区は既に10月25日に除去命令書、11月12日に戒告書を通達し、テントの撤去を求めている。野宿者らは、公園の「副堤」と呼ばれる場所にテントを移したが、区はここも撤去するように求めている。
 
竪川公園内で、空き缶集めをしながら生活している郡司さん(53歳)は、「家を壊されたらどんな気持ちがするか。1人でも生きていく知恵なんです。人権は生まれてから、死ぬまで保障されている」と訴えた。
 
山本志都弁護士は、「物を動かす行政代執行を、人を排除するための手段として用いている」と区の対応を批判。日本弁護士連合会の人権委員会に、人権救済申立書を提出した。
 
野宿者を支援する活動をする山谷労働者福祉会館の向井さんは、「野宿者の問題は、当事者だけの問題ではない。それを作り出してきた社会の問題。さまざまな矛盾が凝縮され現れたもの。貧しいものが共生してきた歴史に目を向けたほしい」と説明し、区側から一方的に中止された話し合いの再開を求めている。
 
江東区水辺と緑の課の高垣克好課長はOurPlaentTVの取材に対し、「話し合いで、荷物をどかすという相談なら分かるが、『公園に住む権利がある』という意見が出され平行線。」「行政代執行を行うかは、まだ未定の状態。1年に何度という問題ではない。公園の管理上、仕方がない」と話している。
 
テントに貼られた戒告書の除去期限は19日で切れており、近日中に行政代執行令書が通達される可能性がある。
 
関連番組
持たざる者・いのち・公共性~竪川公園の野宿者排除を考える
ゲスト:稲葉奈々子(茨城大学・准教授)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1307
 

 

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