子ども被災者支援法
2013/03/22 - 19:44

「線量基準」原子力規制委が検討へ〜子ども被災者支援法や除染目標

去年6月に議員立法により成立した「原発事故子ども被災者支援法」が、制定から既に9ヶ月が経つにも関わらず、政府が「基本方針」を策定していない問題で、復興庁の根本匠大臣は22日、「基本方針」策定を遅らせる原因となっている「支援対象地域」の基準の検討を、原子力規制委員会に依頼していることを明らかにした。規制委の検討をもとに、原子力災害対策本郡が総合的に判断するとしている。

根本大臣は記者会見で、子ども被災者支援法は、「政策の対象」が立法当初に確定していなかったことが「基本方針」の策定を難しくしているとした上で、「専門的、科学的、客観的な内外の知見を参考にする決める必要がある」と強調。原子力規制委員会の検討をもとに、「支援対象地域」の基準を決めるとの考えを示した。

根本大臣は、3月7日に開催された「原子力災害対策本部」の席上、地元からの要望や子ども被災者支援法の地域指定のあり方を検討するために、年内を目途に、原子力災害対策本部に一定の見解を示して欲しいと発言。また、検討に当たっては原子力規制委員会が専門的な役割を果たすよう求めていた。

「基本方針」の策定時期については、必ずしも、年内の検討を待たずに判断することもありうると回答。また、事前に、政府主催の意見聴取会を開催するかどうかについて問われると、「基本方針策定前にはしかるべき方法で意見を聴取する」との回答を繰り返すばかりで、意見聴取の具体的な方法については明言を避けた。更に根本大臣は、たとえ法的な「基本方針」は示されていなくとも、15日に復興庁が公表した「支援パッケージ」によって、「基本方針」に示された政策は既に実施していると力説した。

「原発事故子ども・被災者支援法」では、「基本方針」を策定する際に被災当事者の意見を反映させることや、国が責任をもって健康調査を行うことなどが定められている。しかし、原子力災害対策本部が開催された3月7日の前日に、原子力規制員会が取りまとめた提言書には、国が責任をもって健康調査をすべきとするといった内容は抜け落ちたため、批判を浴びていた。

参考リンク
原子力災害対策本部会合(2013年3月7日)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/genshiryoku/pdf/gensai_gaiyo_29.pdf
原子力災害による被災者支援施策パッケージ(復興庁 2013年3月15日公表)
http://www.reconstruction.go.jp/topics/post_174.html
根本匠復興大臣のコメント(2013年3月15日の記者会見)
http://www.reconstruction.go.jp/topics/25315_3.html
原子力災害による被災者支援施策パッケージに対する緊急声明
http://ow.ly/iZ9ZQ
原発事故子ども・被災者支援法法文(2012年6月27日成立)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H24/H24HO048.html
福島ふるさと復活プロジェクト(復興庁 2013年2月15日公表)
http://www.reconstruction.go.jp/topics/20130215_sokatsuhonbu_shiryo3.pdf

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