市民団体「たんぽぽ舎」が運営する放射能汚染食品測定室で、埼玉県産の狭山茶から暫定基準値を超える放射性セシウムが検出されたことが分かった。
基準値を超えたセシウムが検出されたのは、5月16日に狭山市内で採取された煎茶。生産農家が育てている複数の畑のうちの、自家用に育てている畑から採取した茶葉から製造された一番茶の製茶から、1319ベクレル/キログラム(セシウム134は359ベクレル、セシウム137は960ベクレル)の放射線セシウムが検出された。販売用に生産している他の畑については、検査は行っていない。
暫定基準値を超えた検査結果の表
OurPlanetTVでは上記の結果を受けて、都内で購入した狭山茶について、同測定室に改めて検査を依頼したところ、暫定基準値よりわずかに下回る439ベクレル/キログラム(セシウム134は114ベクレル、セシウム137は325ベクレル)が検出された。
埼玉県の農産物安全課の担当者は、「検査の詳細を把握していないので、今はコメントできない。今後の調査について現在は未定だが、対応が必要になるかもしれない」と話している。埼玉県では、5月と7月に2回、荒茶と飲料茶計7検体について、放射性物質の検査を実施し、放射性セシウムを検出したものの暫定基準値以下だったため、7月15日に安全宣言を出していた。東京電力福島第一原子力発電所の事故後、埼玉県内の農産物から、暫定基準値を超える放射性物質の検出が公表されたのは、これがはじめてとなる。
OurPlanetTVが都内で購入し検査を依頼したお茶
7月22日(金)に開催された細野豪志大臣(内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)、原発事故の収束及び再発防止担当)の記者会見で、OurPlanetTVが、都内で購入した狭山茶の放射性物質が暫定基準値をわずかにしか下回っていないことを質問したところ、細野氏は「ギリギリというところまでいかないレベルなので、良かった。」とした上で、「それで良しとするのではなくて、他のサンプルもとって、本当に大丈夫なのか確認をしたり、安全サイドに立った調査は必要」だと回答している。
細野豪志大臣
放射能汚染食品測定室は、チェルノブイリ原発事故後に、食品検査を実施している民間の検査機関で、3月11日以降は、農家や市民、メディアなどから依頼された食品を4ヶ月で800検体程度検査している。代表の鈴木千津子さんは「チェルノブイリ以降、10年以上出ていなかった放射性物質が、3月11日以降、あらゆる食品から次々に検出され驚いている。ほうれん草、からし菜などの葉物類から、お茶の葉、小魚、肉まで放射能汚染は広がっている。土壌が汚染されている状況で、秋には米の収穫を迎える。」と汚染された食品の流通を懸念。政府が福島第一原発以降、食品を基準値を上げていることを批判した上で、「食べることと食べないことと、風評問題は別問題。暫定基準を下げ、被害にあっている生産者の補償も国はしっかり行っていくべき。子どもたちには汚染している食品を食べさせるべきではないし、大人も好んで食べる必要はない」と話している。
放射能汚染食品測定室 代表の鈴木千津子さん
今回、放射能汚染食品測定室が検査を行ったのは、荒茶をさらに加工したもので、自家用とはいえ、販売用と同じパッケージに封入された状態のもの。検査を行っていない複数の畑の茶葉は既に出荷をし、市場に出回っていると見られる。なお、「狭山茶」を「産地銘柄」として表示しているのは、埼玉県内産及び埼玉県に隣接する東京都の西部地域産の荒茶を100%使用したお茶。
<資料>
基準値超えのお茶の検査結果
http://www.ourplanet-tv.org/files/sayama.pdf
OurPlanetTVが都内で購入したお茶の検査結果
http://www.ourplanet-tv.org/files/OurPlanetTV.pdf
埼玉県の検査結果
5月14日
http://www.pref.saitama.lg.jp/news/page/news110514-01.html
7月15日
http://www.pref.saitama.lg.jp/news/page/news110715-13.html
<報道>
産経ニュース「県が「狭山茶」安全宣言 今年の茶葉は全て収穫」(7月15日)
http://sankei.jp.msn.com/region/news/110715/stm11071518080007-n1.htm
毎日新聞「県内産の荒茶、規制値下回る-県放射性物質調査/埼玉」(7月16日
http://mainichi.jp/area/saitama/news/20110716ddlk11040237000c.html
埼玉新聞「狭山の二番茶、規制値下回る 県の放射性物質検査」(7月16日)
http://www.saitama-np.co.jp/news07/16/08.html