情報公開法の改正法案が4月22日に閣議決定されたのを受け、5月30日、情報公開法改正の早期実現を求めて、日本弁護士連合会主催の院内集会が開催された。
集会ではまず、日弁連事務局長の海渡雄一弁護士が、福島原発事故に言及し、メルトダウンに関するデータ開示をはじめ、汚染水の放出情報やSPEEDIなど、あらゆる面で、情報が迅速かつ正確な情報が提供されていないと指摘。政府は、パニックを恐れるあまり、市民が自らの安全を守る権利を侵害しているとして、このようなことを2度と繰り返さないためにも、早期に情報公開法の改正が実現するよう訴えた。
続いて、内閣府の行政透明化検討チームで、情報公開法改正についての議論に加わってきた三宅弘座長代理が情報公開法改正案の内容を解説。「法律の目的に「知る権利」という言葉が入ったことは極めて重要」と指摘。また、これまで非開示にされてきた公務員の名前が公開対象になることの意味も大きいと話した。
日弁連情報問題対策委員会委員長の清水勉弁護士は、「原発事故の影響で、国民の情報公開に対する意識は高まっている」とした上で、「一部の政治家や官僚にまかせるのではなく、市民一人が政治に参加しきちんと判断を下すためにも、情報の透明性がなくてはならない」と強調した。
今回の改正の目玉は、法律の目的に「知る権利」を明記したことのほか、情報の開示を拒否された利用者が政府を相手取って情報公開訴訟を起こす場合、裁判官が不開示とされた文書を行政機関に提出させ、内容を精査して公開の是非を判断できる「インカメラ審理」の導入がある。さらに、情報公開訴訟を提起できる地方裁判所を、現行の8カ所から50カ所ある全国すべての地裁に拡大した。
一方、第5条の「行政文書の開示義務」の条項に、新たに「権利の濫用」や「公の秩序」「善良の風俗」に反する場合は開示しなくてもよいとする内容が加えられており、会場からは、「改正案の早期実現は重要だが、この条文が削除が必須ではないか」との声があがった。
OurPlanetTVが取材を続けて来た渋谷区の給食をめぐる問題でも、区民が情報公開をしたところ、「ホームページに掲載すること」が、誹謗中傷に当たるとして、不開示とされた例がある。
日本弁護士連合会の情報公開に対する意見
http://www.nichibenren.or.jp/ja/committee/list/joho_mondai/zyouhou_kouka…
情報公開法概要
http://www.cas.go.jp/jp/houan/johokokai/110422_gaiyou.pdf
情報公開法新旧対照表
http://www.cas.go.jp/jp/houan/johokokai/110422_taishou.pdf