子ども被災者支援法
2013/03/15 - 23:31

「被害実態を踏まえていない」〜原発被災者支援策に抗議の声

復興庁が15日、福島第一原発事故による被災者支援を目的とした政策を公表した。しかし、内容は、2011年第2次補正予算以降、既に予算化されていたり、「福島ふるさと復活プロジェクト」などの中ですでに発表されているものがほとんど。唯一、新しいものとして、高速道路の無料化を、自主避難者まで拡充する政策が提示されたものの、去年6月に成立した「原発事故子ども・被災者支援法」で謳われている国の責任による健康調査や避難の権利などに関しては、一切触れられなかった。

復興庁がまとめた政策は「原子力災害による被災者支援施策パッケージ」と名付けられ、放射能の影響で屋外で遊べない子どものために、屋内の運動施設を整備することなどが盛り込まれている。また、高速道路の無償化に関しては、福島県の浜通りと中通り、宮城・丸森町からの母子避難者らを対象に、避難先から避難元までの最寄りのインターチェンジ(IC)間を無料にするとした政策が発表された。

復興庁の根本大臣はこのパッケージについて、15日朝の記者会見で「健康上の不安を抱えたり、生活上の負担を強いられている皆さんに対して、不安の解消や安定した生活の実現が大きな目的」とした上で、「支援法の目的・趣旨をしっかり読み込んで、具体的な施策を取りまとめたものが、今回の政策パッケージ」「子ども被災者支援法による必要な施策については、この対策で盛り込んだ」との見解を示した。

これを受けて、「放射能から子どもたちを守る福島ネットワーク」など25団体は、同パッケージは、原発事故子ども・被災者支援法の理念と深刻な被害実態を踏まえていないとして、緊急声明を発表した。声明では、被災者・支援者の意見が反映されていないことや支援の対象地域が被災三県や福島県の一部に限定されるなど、非常に狭いことなどを指摘している。

「原発事故子ども・被災者支援法」では、「基本方針」を策定する際に、被災当事者の意見を反映させることや、支援対象地域を定め、具体的な施策を実行すること、また、国が責任をもって健康調査を行うことなどが定められている。これまで、千葉県の9自治体をはじめ、多数の自治が、支援方針の早期策定や、支援対象へ含めて欲しいする要望を復興庁に提出している。

原子力災害による被災者支援施策パッケージ(復興庁 2013年3月15日公表)
http://www.reconstruction.go.jp/topics/post_174.html
根本匠復興大臣のコメント(2013年3月15日の記者会見)
http://www.reconstruction.go.jp/topics/25315_3.html
原子力災害による被災者支援施策パッケージに対する緊急声明
http://ow.ly/iZ9ZQ
原発事故子ども・被災者支援法法文(2012年6月27日成立)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H24/H24HO048.html
福島ふるさと復活プロジェクト(復興庁 2013年2月15日公表)
http://www.reconstruction.go.jp/topics/20130215_sokatsuhonbu_shiryo3.pdf

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