日本維新の会共同代表・橋下徹大阪市長が、「慰安婦制度は必要だった」「米軍司令官に風俗業の活用を進言した」などの発言を繰り返していることに対し、女性たちが22日、抗議集会を開いた。発言の撤回を求めるとともに、市長本人と同様の歴史認識を示している政府の責任を追及していくとする声明が採択された。
集会は「アジア女性資料センター」(東京都渋谷区)の呼び掛けで企画されたもので、女性団体など全国の236団体が賛同している。会場には400人近い人が詰めかけ、立ち見も出た。
市長の歴史認識への疑問や、そもそも女性を道具のように「活用」する男性中心社会の発想への違和感を訴える発言が相次いだ。
衆議院議員の辻元清美議員(民主党)は、橋下氏の風俗業の活用という発想は、戦時中の慰安婦を容認するという思想そのままとばっさり。橋下市長らが「日本軍慰安婦」に関連して「強制した」とする資料がないとの根拠として、前の安倍政権が2007年に行った閣議決定をあげていることについて、その閣議決定こそが問題として、橋下氏の発言を生み出している安倍政権にも問題があると主張した。
「戦時下では世界各国が同じようなことをやっていた。 日本だけが特殊な性奴隷を持っていたと不当に侮べつされるのは我慢ならない」と主張している橋下市長。これに対して、日本軍「慰安婦」問題解決全国行動共同代表の梁澄子(ヤンチンジャ)さんは 「日本の特殊性は、慰安婦にされた数多くの女性が名乗り出ていること。被害回復を求めているのに、政府はこたえてこなかいこのことこそが、世界から非難されているに、理解していない」と話した。更に、梁さんは、国内の裁判でも事実認定はされてると、いくつかの裁判判例を示しながら解説。「(橋下市長の)発言の背景に、安倍首相の歴史観がある。ここを問わず、橋下市長だけをたたくトカゲのしっぽ切りで終わらせてはいけない」と力説した。
女性のためのセックスグッズを販売しているラブピースの代表・北原みのりさんは「日本には、橋下発言を容認する空気がある」と指摘。「男は女を犯すものという発想であり、そのために守るべき女と、犯していい女を分けてきた」「男性の多くが性欲を自分で制御できないという神話が現在でもまかり通っている」と憤った。
更に性暴力禁止法をつくろうネットワークの共同代表・周藤由美子さんは、「橋下氏の問題発言が生じた裏側には、女性搾取を容認する空気が漂っている」として、個人だけでなく社会全体の問題だと懸念した。
集会では、最後に、発言の撤回を求めるとともに、市長本人と同様の歴史認識を示している政府の責任を追及していくとするとのアピールが読み上げられ、採択された。